NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年6月10日(月)放送分
オリジナル・ショート・ストーリー
「The Great Actor -すばらしい役者-」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Hello, everyone.
This is Morisaki Win for Enjoy Simple English.
毎週月曜日は、オリジナルの「Short Stories」
今日は「The Great Actor、すばらしい役者」
新人マネージャーが担当する俳優が、控室から出てこなくて困ってるところに、先代マネージャーがたまたま通りかかり、知恵を貸します。
何が問題だったのでしょうか。
ちなみに、”lines”ってのは「セリフ」のことを言いますね。
早速聞いてみましょう。
The Great Actor -すばらしい役者-
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
Tamura:シラトリさん!聞こえますか?
僕です、マネージャーのタムラです。
ドアを開けていただけませんか?
Mikami:やー、タムラくん。何かあったの?
Tamura:あっミカミさん!
どうしてこちらに?
Mikami:えーっと、約束があって、このスタジオで。
Tamura:そうですか。
あなたは来ました、完璧なタイミングで。
僕聞きましたよ、あなたが以前シラトリカオルのマネージャーだったって。
Mikami:俺は15年間(マネージャー)だった、君が入社する前にね。
Tamura:では、シラトリさんに頼んでいただけませんか、楽屋のドアを開けてくれるように。
Mikami:彼女は変わってないな。
知ってたかい?彼女は有名なんだよ、長時間、楽屋に閉じこもるって。
Tamura:えっ、知りませんでした。
Mikami:覚えがないか?君が彼女にしたり、言ったりしたことに。
Tamura:僕、本当に分かりません。
Mikami:よく考えるんだ。彼女がここにいるのは、新しいドラマの撮影のためだね?秋に始まる。
Tamura:その通りです。
僕たちはいつもより早く来なければなりませんでした、でもすべて円滑に行きました。
Mikami:何か思いつかないか?普通じゃなかったこと。
Tamura:えーっと、あ!
シラトリさんにたくさんのセリフがありました、最後のシーンに。
Mikami:ほー。何回の取り直しを、彼女はしなければならなかったのかな?
Tamura:何1つないです。1テイクとって、監督がOKと言いました。
ですが、僕は思うんです、シラトリさんは満足してなかったと。
彼女は監督に尋ねていました、撮り直しできるかどうか。
Mikami:監督は何て言ったんだ?
Tamura:彼は言いました。
「あなたは素晴らしい、もう一度やる必要はないですよ。」
Mikami:それで、君は何をした?
Tamura:僕は言いました。
「僕も思いません、あなたがやる必要はないです。あなたは完璧でした。」
Mikami:それだ!
Tamura:これですか?
Mikami:いいかい、俳優は操り人形じゃない。彼らはアーティストで、自分を表現したい人達なんだよ。
そして、マネージャーとしての我々の仕事は、彼らをサポートすることだ。
分かるか?
Tamura:はい、ミカミさん。
Mikami:じゃあ、やるべきことは1つだ。
Tamura:分かりました。
僕、監督のところへ行って、聞いてきます、あのシーンを撮り直せるかどうか!
Mikami:がんばるんだ!
(ドアをノックする音)
Mikami:シラトリさん。
僕です、ミカミです。
Shiratori:彼は行った?
Mikami:はい、はー。
どうしてワインを1本全部飲んだんですか?昨日。
それに、どうして僕が頭痛薬を持ってこないといけないんです?
Shiratori:分かってるの、これがいい考えじゃないって。
でもあなたが言ったように、マネージャーの仕事でしょ?アーティストをサポートするのが。
私はそれ(その言葉)好きよ。
Mikami:僕はもうあなたのマネージャーじゃないんですよ、覚えてます?
あなたの新しいマネージャーに頼んでください、タムラくんに。
Shiratori:でも、彼、すごく私を尊敬してるのよ。
彼は思ってるの、私が完璧な人間だって。
私、壊したくないのよ、私のイメージを。
彼、ショックを受けるわ、もし私が彼に言ったら、飲み過ぎてすごい頭痛だなんて。
Mikami:僕が彼に言いました、行って、監督に撮り直しをお願いするようにと。あなたが僕に頼んだように。
Shiratori:ありがとう。
分からないわ、どれぐらい良いテイクが取れるか、さっきよりも。
でも、私はシラトリカオル、素晴らしい役者よ。
私はやるわ、ミカミさんのために。
さあ、お水をちょうだい、薬を飲むために。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
Tamura:白鳥さん!聞こえますか?
僕です、マネージャーの田村です。
ドアを開けていただけませんか?
Mikami:おー田村くん。何かあったの?
Tamura:あっ三上さん!
どうしてこちらに?
Mikami:えーっと、このスタジオで約束があってね。
Tamura:そうですか。
三上さん、完璧なタイミングで来てくれました。
僕聞きましたよ、三上さんが以前白鳥薫のマネージャーをされてたって。
Mikami:俺は、君が入社する前に15年間マネージャーをやってたよ。
Tamura:では、白鳥さんに楽屋のドアを開けてくれるよう頼んでいただけませんか。
Mikami:彼女は変わってないな。
彼女が、長時間楽屋に閉じこもることで有名なの、知ってたか?
Tamura:えっ、知りませんでした。
Mikami:君が彼女にしたり、言ったりしたことで、思い当たることはないか?
Tamura:僕、本当に分かりません。
Mikami:よく考えるんだ。彼女がここにいるのは、秋に始まる新しいドラマの撮影のためだね?
Tamura:そうです。
僕たちはいつもより早く来ないといけなかったんです、でもすべて円滑に進みました。
Mikami:他に普通じゃなかったこと、思いつかないか?
Tamura:えーっと、あ!
最後のシーンで、白鳥さんのセリフが多かったです。
Mikami:ほー。彼女は何回撮り直しをしなくちゃならなかったんだ?
Tamura:ないです。1テイクで、監督がOKを出しました。
でも、白鳥さんは満足してなかったんだと僕は思います。
監督に撮り直しできるか尋ねてらっしゃいましたし。
Mikami:監督は何て言ったんだ?
Tamura:監督は「白鳥さんは素晴らしい、もう一度やる必要はないですよ。」と言ってました。
Mikami:それで、君は何をした?
Tamura:僕も「撮り直しの必要はないと思います。白鳥さんは完璧でした。」と言いました。
Mikami:それだ!
Tamura:これですか?
Mikami:いいかい、俳優は操り人形じゃない。彼らはアーティストで、自分を表現したい人達なんだ。
そして、マネージャーとしての我々の仕事は、彼らをサポートすることだ。
分かるか?
Tamura:はい、三上さん。
Mikami:じゃあ、やるべきことは1つだ。
Tamura:分かりました。
僕、監督のところへ行って、あのシーンを撮り直せるかどうか聞いてきます!
Mikami:がんばるんだ!
(ドアをノックする音)
Mikami:白鳥さん。僕です、三上です。
Shiratori:彼は行った?
Mikami:はい、はー。
どうして、昨日ワインを1本全部飲んだんですか?
それに、どうして僕が頭痛薬を持ってこないといけないんです?
Shiratori:これがいい考えじゃないって分かってるわ。
でもあなたが言ったように、アーティストをサポートするのがマネージャーの仕事でしょ?
その言葉、気に入ったわ。
Mikami:僕はもうあなたのマネージャーじゃないってこと覚えてます?
あなたの新しいマネージャーの田村くんに頼んでくださいよ。
Shiratori:でも、田村くんは私のことをすごく尊敬してるのよ。
私が完璧な人間だって、思ってるみたい。
だから、私のイメージを壊したくないの。
もし私が、飲み過ぎで頭痛がひどいなんて言ったら、彼、ショックを受けるわ。
Mikami:白鳥さんが僕に頼んだように、僕が彼に言いましたよ。監督に撮り直しをお願いしに行くように。
Shiratori:ありがとう。
さっきよりどれぐらい良いテイクが取れるか、私にも分からないけど。
でも、私は白鳥薫、素晴らしい役者よ。
私はやるわ、三上さんのために。
さあ、薬を飲むからお水をちょうだい。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
“hangover” 「二日酔い」かー。
いや、まあ、分かるな、その俳優さんの気持ちも分かるし、僕もね、あのー、経験…あります、はい、分かります。
でも、そういう時こそ、もう、普段よりも倍がんばらないといけないですね。
「がんばってほしい」 “go for it”
ただ、こういう二日酔いとかを続けてると、尊敬されなくなりますね。
「尊敬する」 “I look up to 誰々.” と使います。
ぜひ使ってみてください。
それでは、See you tomorrow!