NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年9月11日(木)放送分
哲学者からの答え
『I Am Afraid of Dying』
死ぬのが怖い
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日にお届けするのは「哲学者からの答え」
今日の悩みは「死ぬのが怖い」です。
大学生のヒロコさんは、時々、いつか来る自分の死を考えては、不安に思っているようです。
そんな彼女に、昌平先生はソクラテスの考えを伝えます。
哲学者は、体より魂を大切に育てているのだと。
どういうことでしょう。
ストーリーに出てくる、
“get over” は「克服する」という意味です。
それでは、聞いてみましょう!
Let’s 哲学!
I Am Afraid of Dying – 死ぬのが怖い
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
Tom:
こんにちは / 視聴者の皆さん / 『哲学者からの答え』の!
私はトムです、そして…
Shohei:
私は小林昌平です。
私たちはここにいます / 助けるために / あなたが答えを見つけことを / あなたの悩みへの。
Tom:
今日 / 私たちはメッセージ受け取りました / 大学生、ヒロコから。
Hiroko:
こんにちは。
私は若いです / ですが / 私が病気になる時 / あるいは / 事故に遭う時、私は考えます / 「もし私が死んだらどうするの?」
死は怖がらせます / 私を。
私は感じます / 私は話すことができないと / このことについて / 私の友達と、だから / 私は尋ねています / あなたたちに。
どうすれば私は克服できますか / 私の恐怖を / 死ぬことについての?
Tom:
私は確信します / 私たちの多くは怖がったことがあると / 死ぬことについて / ある時点で / 我々の人生の。
特に / 私たちが若い時、私たちはよく知りません / 死を。
私たちは知りません / それ(死)が何か、だから / それ(死)はなります / さらに怖く。
Shohei:
その通りです、トム。
そこで今日、私は話したい / ソクラテスについて。
Tom:
わかりました。
Shohei:
彼はギリシャの哲学者でした / そして / 私は思います / 彼は言うだろうと、
「どうしてあなたは恐れることができるのか / 死ぬことについて / もしあなたが実際に死んだことがなければ?」
Tom:
良い視点。
Shohei:
ソクラテスは書かなかった / どんな本も / 彼自身で、しかし / 彼の生徒たちが書いた / 彼について。
それらの本の1冊で、ソクラテスは言った / 哲学者は恐れない / 死ぬことを。
Tom:
本当ですか?
なぜ(怖くない)ですか?
Shohei:
えー、 ソクラテスは本当に深く考えました / 意味することについて / 良い人生を生きることが。
彼は考えました / 幸福は / お金や権力からの / 真実の幸福ではないと。
Tom:
説明していただけますか?
Shohei:
彼は考えました / 良い人生とは / 正直、知恵 / そして / 大切にすること / あなたの魂を。
あなたは考えるべきです / 何が良いことか、何が美しいことか、そして / 何が正しいことかについて。
Tom:
では / 何が真実の幸福ですか?
Shohei:
探すこと / 真実のものを / この世界で / 知恵を通して、そして / 質を高めようとすること / 私たちの人生の。
Tom:
それで、どのようにそれがつながるのですか / 哲学者と / 死ぬことを恐れない(哲学者と)?
Shohei:
ソクラテスは言いました / 哲学者は練習していると / 死を / 彼らがまだ生きている間に。
Tom:
どのように彼らはするのですか / それを?
Shohei:
彼は信じました / 人が死ぬ時、肉体は消滅する / 一方で / 魂は生き続けると。
哲学者は / 集中する(哲学者は) / 魂をより良くすることに / そして / 考えない(哲学者は) / 富や権力について、ある意味では / 死を経験している。
Tom:
つまり / 哲学者はより大切にしている / 彼らの魂を / 彼らの体よりも / 彼らが生きている時でさえ。
そして / それは死んでいるようである / なぜなら / あなたの肉体は重要ではないから / もはや。
哲学者は既に / 「死んでいる」 / ある意味で。
Shohei:
はい!
だから / 彼は言いました / 死ぬことは怖くないと。
Tom:
なるほど。
ヒロコ、私たちは見つけました / あなたの答えを!
生きようとしてください / 良い人生を / そうすれば / あなたは持ちます / 良い魂を。
そして / あなたはあまり怖がらなくなります / 死を。
Shohei:
もっと考えてください / 真実について。
人になってください / 知恵を愛する。
Tom:
次回もお楽しみに!
さようなら!
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
Tom:
『哲学者からの答え』をお聞きの皆さん、こんにちは!
トムです。そして…
Shohei:
小林昌平です。
皆さんのお悩みに対する答えを見つけるお手伝いをするため、ここにいます。
Tom:
今日は、大学生のヒロコさんからメッセージをいただきました。
Hiroko:
こんにちは。
私はまだ若いのですが、病気になったり、事故に遭うと、
「もし自分が死んだらどうなるの?」と考えます。
死が怖いです。
こんなこと、友達に話せないような気がするので、お2人にお聞きしています。
死ぬ恐怖をどのように克服することができるでしょうか?
Tom:
きっとあると思います、我々の多くが、人生のある時点で死ぬのを怖がったことが。
特に若い頃は、死に馴染みがありません。
死とは何かが分からない、だから、死がさらに怖くなります。
Shohei:
トム、その通りです。
そこで今日は、ソクラテスについて話したいと思います。
Tom:
わかりました。
Shohei:
彼はギリシャの哲学者でした。
私は、彼がこう言うだろうと思います。
「実際に死んだこともないなら、どうして死を恐れることができるのか?」
Tom:
いい視点ですね。
Shohei:
ソクラテスは自身で本を書いていませんが、弟子たちがソクラテスについて書いています。
そのうちの1冊で、哲学者は死を恐れない、とソクラテスは言いました。
Tom:
本当ですか?
なぜ怖くないのでしょうか?
Shohei:
えー、良い人生を生きることの意味を、ソクラテスは本当に考えました。
彼は、お金や権力による幸福は真実の幸福ではない、と考えました。
Tom:
説明していただけますか?
Shohei:
ソクラテスは考えました、良い人生とは、正直、知恵、そして自分の魂を大切にすることだと。
何が良いことか、何が美しいことか、何が正しいことかについて考えるべきだと。
Tom:
では、何が真実の幸福なのでしょうか?
Shohei:
知恵を通してこの世界での真実を求め、人生の質を高めようとすることです。
Tom:
それで、それが、死を恐れない哲学者とどのように関係しているのでしょうか?
Shohei:
哲学者は生きている間に死を練習している、とソクラテスは言いました。
Tom:
どうやって哲学者は練習するのですか?
Shohei:
人は死ぬと、肉体は消滅するが、一方で魂は生き続ける、とソクラテスは信じていました。
魂をより良くすることに集中し、富や権力について考えない哲学者は、ある意味で、死を経験していると。
Tom:
つまり、哲学者は、生きている時でさえ、肉体よりも魂を大切にしている。
そして、もはや肉体は重要ではないから、死んでいるようなもの。
ある意味、哲学者は既に「死んでいる」と。
(魂を肉体から離し、魂をすぐれたものにすることは、死の予行演習=練習)
Shohei:
そうです!
ですから、死ぬことは怖くない、とソクラテスは言いました。
Tom:
なるほど。
ヒロコさん、あなたの答えが見つかりましたよ!
良い人生を送るようにしてください、そうすれば、良い魂を得るでしょう。(魂の健康)
そして、あまり死を怖がらなくなります。
Shohei:
もっと真実について考えてください。
知恵を愛する人になってください。
Tom:
次回もお楽しみに!
さようなら!
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
ソクラテスは「死ぬと体はなくなるけど、魂は生き続ける」と考えました。
「だから、生きているうちから、物理的な欲求を持たず、魂を大事にしてる哲学者は、生きながらにして死を体験している。」
ということなんですね。
See you tomorrow.
参考図書
2025年度前期(4月~9月)木曜日のテーマ「哲学者からの答え」は、下記の本を参考に英文が執筆されています。
著者:小林昌平さん (哲学者)
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』