NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年9月5日(木)放送分
古典が語る西洋の知恵
「Echo エコー」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日は、2019年度に放送した「古典が語る西洋の知恵」をお送りしています。
「ギリシャ神話」”Greek Myth” から、西洋の表現や考えなどを学びます。
今回は「Echo」です。
では、早速、聞いてみましょう!
Echo – エコー
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
あなた方の多くは知っているかもしれません / 「やまびこ」という言葉を。
あなたは知っていましたか? / その言葉が由来していると / ギリシャ神話から。
こちらがその物語です。
エコーは美しいニンフでした。
ニンフとは自然の精霊です。
エコーは楽しみました / 遊ぶことを / 森で、そして / アルテミス、狩りの女神は、彼女を気に入っていました / とても。
アルテミスはよく言いました。
「私は狩りに出かける。私と一緒に来なさい、エコー。」
エコーは良いニンフでした、ですが / 彼女は完璧ではありませんでした。
彼女は話しました / あまりにも多く。
エコーはいつも / 最後の言葉を言いました。
つまり / 彼女が話すとき / 誰かと、彼女はいつも言いました / さらに何かを / その人たちが話し終わった後に。
ある日、女神ヘラ、ゼウスの妻が来ました / その森へ / 彼女の夫を探しに。
ヘラは思いました。
「私は確信している / ゼウスは遊んでいる / ニンフたちと。
私は連れて帰らなければならない! / 彼を家に。」
それは本当でした。
ゼウスはいました / 森の中に、そして / 彼は楽しい時間を過ごしていました / 数人のニンフたちと。
エコーは考えました。
「ヘラは本当に怒るわ!
ニンフたちには時間が必要だわ / 逃げるための。」
そこで、エコーは行きました / ヘラのもとへ / そして / 彼女と話し始めました。
「親愛なるヘラ、私は信じられません / あなたがここにいるなんて。
私はとても嬉しいです。
あなたも思いませんか? / (今日は)素敵な日だと。」
エコーはやめませんでした / 話すのを / 全てのニンフたちが逃げるまで。
ヘラは気付きました / これに / そして / とても怒りました。
「お前は騙したな / 私を / お前の言葉で。
だから、私はお前の言葉を奪う / お前から。
だが / 私は奪わない / 全てを。
お前は言うことができる / 他の人の言葉を、だが / 決してお前の言葉は(言えない)。」
そして、そのときから、エコーは言うことができました / 他の人の言葉だけを。
そして、ある日、エコーは見ました / ナルキッソスが狩りをしているのを。
彼はハンサムな青年でした。
エコーは恋をしました / ナルキッソスに / そして / 追い始めました / 彼の後を。
彼女は話しかけたかった / 彼に / ですが / 彼女は使うことができませんでした / 彼女自身の言葉を。
彼女は待ちました / ナルキッソスが話すのを。
数日後、ナルキッソスは狩りをしていました / そして / 離れ離れになりました / 彼の友達と。
彼は歩きました / 森の中を / そして / 大声で呼びかけました。
「誰かいるの?」
エコーは言いました。
「ここです!」
ナルキッソスは見回しました / でも / 彼には誰も見えませんでした。
彼は続けました。
「おいで。」
すると / エコーは答えました。
「おいで。」
でも / エコーは見せませんでした / 自分自身(の姿)を。
それから、ナルキッソスは言いました。
「合流しましょう!」
そして / エコーは言いました / 同じ言葉を / そして / 行きました / ナルキッソスのところへ。
ナルキッソスは驚きました / そして / 言いました。
「僕から離れろ!」
そして、彼は逃げました。
エコーはとても悲しみました / そして / 暮らし始めました / 洞窟で。
彼女はとても悲しんだので / 彼女の体は消えました。
(so~that~構文)
エコーは岩に変わりました / ですが / 彼女の声は残りました。
彼女はまだ山の中にいます / 今日も。
彼女は返事をするでしょう / 誰にでも / 話しかける人に / 彼女へ。
これで / あなたは知っています / その悲しい物語を / 「やまびこ」という言葉の背後にある。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
多くの人が「やまびこ」という言葉を知っているかもしれません。この言葉がギリシャ神話に由来することはご存じでしたでしょうか?
こちらがその物語です。
エコーは美しいニンフでした。ニンフは自然の精霊です。エコーは森で遊ぶこと楽しみ、狩りの女神アルテミスは、彼女をとても気に入っていました。
アルテミスはよく言いました。
「私は狩りに出かける。私と一緒に来なさい、エコー。」
エコーは良いニンフでしたが、完璧ではありませんでした。彼女はおしゃべりでした。
エコーはいつも、最後のひと言を言いました。つまり、彼女が誰かと話す時、その人が話し終わった後に、エコーがいつも、さらに何か言うのです。
ある日、ゼウスの妻である女神ヘラが、夫を探しに森にやって来ました。
ヘラは思いました。
「ゼウスはニンフたちと遊んでいるに違いない。彼を家に連れ帰らなければ!」
それは本当でした。ゼウスは森でニンフたちと楽しい時間を過ごしていました。
エコーは考えました。
「ヘラは本当に怒るでしょう!ニンフたちには、逃げる時間が必要だわ。」
そこで、エコーはヘラの元へ行き、彼女と話し始めました。
「親愛なるヘラ、あなたがここにいるなんて信じられません。とても嬉しいです。今日は素敵な日だと思いませんか?」
エコーは、ニンフが全員逃げるまで話しをやめませんでした。ヘラはこれに気付き、激怒しました。
「お前は、お前の言葉で私を騙したな。だから、私は、お前から言葉を奪う。だが、すべては奪わない。お前は他の人の言葉を言うことはできるが、決して自分の言葉は言えない。」
そして、その時から、エコーは他の人の言葉しか言えなくなりました。
それから、ある日、エコーは、ナルキッソスが狩りをしているのを見かけました。彼はハンサムな青年でした。エコーはナルキッソスに恋をして、彼の後を追いかけ始めました。彼女は彼に話しかけたかったのですが、自分の言葉を使うことができませんでした。彼女はナルキッソスが話すのを待っていました。
数日後、ナルキッソスは狩りをしていて、友人とはぐれてしまいました。彼は森を歩き、大声で呼びかけました。
「誰かいる?」
エコーは言いました。
「ここです!」
ナルキッソスはぐるりと見回しましたが、誰も見えませんでした。彼は続けました。
「おいで」
すると、エコーは答えました。
「おいで」
でも、エコーは姿を見せませんでした。
それから、ナルキッソスは言いました。
「合流しよう!」
それで、エコーは同じ言葉を言い、ナルキッソスのところへ行きました。ナルキッソスは驚いて言いました。
「僕から離れろ!」
そして、彼は逃げていきました。
エコーはとても悲しくて、洞窟で暮らし始めました。
あまりの悲しさに、彼女の体は消えてしまいました。エコーは岩になってしまいましたが、彼女の声だけは残りました。
彼女は今もまだ山の中にいて、誰かに話しかけられると返事をします。
これで「やまびこ」という言葉の裏にある、悲しい物語がわかりましたね。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
ゼウスの浮気に怒った妻のヘラ。
それでエコーから言葉を奪ってしまった!
いや、なんて、すごい話ですね。
「エコー」って音楽用語とかでもたくさん出てくるんで、よく聞くんですけど、まさかギリシャ神話から来ていた言葉だったとは、興味深い!
See you tomorrow!