NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年4月25日(金)放送分
小泉八雲が愛した日本の民話
『The Story of Mimi-nashi-Hoichi』- 耳なし芳一のはなし
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
It’s Friday.
How is your day going?
エンジョイ・シンプル・イングリッシュの森崎ウィンです。
毎週金曜日は、小泉八雲が愛した日本の民話です。
今日は「耳なし芳一のはなし」をお届けします。
平家の怨霊に呼ばれて演奏する芳一。
彼は無事でいられるのでしょうか。
ストーリーに出てくる、
“lord” は「主人」、
“cemetery” は「墓地」という意味です。
それでは、聞いてみましょう。
The Story of Mimi-nashi-Hoichi – 耳なし芳一のはなし
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
数世紀前、盲目の男がいた / 芳一という名の。
彼はよく知られていた / 彼の能力で / 物語を語ること / そして / 琵琶を演奏することにおいての。
彼は特に有名だった / 歌うことで / 壇ノ浦の戦いについて / 平家が敗れ / そして / 安徳天皇が崩御された時の。
ある夏の夜、芳一は一人きりだった / 寺で / 彼が住んでいた。
突然 / 侍が大声で言った / 彼に / 低い声で。
「芳一!」
「はい!私は見ることができません。誰がお呼びでしょうか?」
「我が主人が聞きたがっておる / そなたの演奏を。」
侍の命令が / 断られることはあり得なかった、それゆえ / 芳一は行った / 彼と一緒に。
しばらくして、芳一は案内された / 大きな御殿へ。
高貴な女性が言った、
「物語を演奏しておくれ / 壇ノ浦の合戦の。」
芳一は歌い始めた。
彼の琵琶は音を奏でた / 海上の船で戦う男たちの。
物語が終わると、聞いていた全員が泣いたので / とても大きく / そして/ 激しく / 芳一は恐ろしくなった。
(so~that~構文)
それから / 全てが静かになった / そして / 女性は話した / 再び。
「よくやった。
我が主人はそなたに望んでおります / 彼(主人)のために演奏することを / 毎晩 / 今後六晩。
誰にも話してはなりませぬ / そなたの訪問について / ここへの。」
芳一は行った / 再び / 次の晩も。
しかし / 三日目の夜、寺の僧侶は思った / 何かおかしいと / そして / 言った / 寺の使用人たちに / こっそりと芳一の後をつけるように。
彼ら(使用人たち)は驚いた / 彼(芳一)が琵琶を演奏しているのを見つけて / 墓地で / 亡くなった平家一門のために建てられた(墓地で)。
彼は座っていた / 一人で / 安徳天皇の墓の前で。
彼の周りの至る所で / 鬼火、死者の火が / 燃えていた / ろうそくのように。
使用人たちはすぐに芳一を家へ連れ帰った。
それから / 僧侶は言った、
「お前は危険にさらされている!
もしお前が演奏し続ければ / 死者たちのために、彼らはお前を滅ぼすだろう。
わしが書こう / 般若心経の祈りの言葉を / お前の体に / お前を守るために。
だが / 覚えておくのだよ、侍の幽霊が戻ってきた時、お前は話したり動いたりしてはいけない。」
その夜、芳一は琵琶を置いた / 彼の横に / そして / 待った。
侍が来た / そして / 言った、
「芳一!どこにお前はいるのだ?!」
芳一は感じた / 全身が震えているように / 彼の心臓の鼓動で。
しかし / 彼は動かなかった。
「よし!拙者には琵琶が見える / だが / 拙者に見えるのは / 二つの耳だけだ / 琵琶弾きの。
拙者はその両耳を持って行こう / 我が主人のもとへ / 示すために / 拙者が最善を尽くしたと。」
芳一の両耳は引きちぎられた / そして / 彼は聞いた / 侍が去るのを。
痛みは大きかった / しかし / 芳一は静かにしていた。
日の出前、僧侶が戻ってきた / そして / 見つけた / 血まみれの芳一を / しかし / 生きている。
「わしの責任である。
わしは確認しなかった / そなたの両耳にあるかどうか / 特別な言葉が / それら(両耳)の上に。」
芳一はすぐに回復した / 彼の怪我から、そして / 物語は / 彼の奇妙な冒険の / 彼を裕福で有名にさせた。
人々は彼を呼んだ / 耳なし芳一と、つまり / 耳がない芳一と。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
数世紀前、芳一という盲目の男がいた。彼は、物語を語ることと琵琶を弾く腕前で、よく知られていた。特に、平家が敗れ、安徳天皇が崩御された壇ノ浦の戦いを歌うことで有名だった。
ある夏の夜、芳一は、住んでいた寺で完全にひとりきりだった。
突然、侍が、低い大声で呼びかけた。
「芳一!」
「はい!私は目が見えません。どなたでしょうか?」
「我が主人が、そなたの演奏を聞きたいと申しておられる。」
侍の命令は拒否できなかった、そのため、芳一は侍と共に行った。
しばらくして、芳一は大きな御殿に案内された。
高貴な女性が言った。
「壇ノ浦の戦いの物語を演奏しておくれ。」
芳一は歌い始めた。彼の琵琶は、海上の船で戦う男たちの音を奏でた。物語が終わると、聴いていた者たちが皆、あまりに大きく激しく泣いたので、芳一は恐ろしくなった。
そして全て静まり、女性が再び話した。
「お見事でした。我が主人が、今後六夜、毎晩、そなたに演奏してほしいと申しております。ここへの訪問を誰にも話してはなりませぬ。」
芳一は、翌晩また行った。
しかし三日目の夜、寺の僧侶は何かおかしいと思い、寺の使用人たちに、こっそりと芳一の後をつけるよう言った。使用人たちは、亡くなった平家一門のために建てられた墓地で、芳一が琵琶を弾いているのを見つけて驚いた。芳一は、安徳天皇の墓の前で一人で座っていた。彼の周りの至る所で、死者の火である鬼火が、ろうそくのように燃えていた。
使用人たちはすぐに芳一を家へ連れ帰った。
すると僧侶は言った。
「お前は危険にさらされている!もしお前が死者たちのために演奏し続ければ、彼らはお前を滅ぼすであろう。お前を守るため、わしがお前の体に般若心経を書こう。だが覚えておくのだよ、侍の怨霊が戻ってきた時、絶対に話したり動いたりしてはならん。」
その夜、芳一は琵琶をそばに置き、待った。
侍が来て言った。
「芳一!どこにいる!」
芳一は、自分の心臓の鼓動で全身が震えるように感じた。しかし、彼は動かなかった。
「よし!琵琶は見える、だが拙者には、琵琶弾きの二つの耳しか見えぬ。拙者が最善を尽くしたことを示すため、その両耳を我が主人へ持っていこう。」
芳一の耳は引きちぎられた、そして侍が去るのが聞こえた。
痛みは激しかったが、芳一は静かにしていた。
日の出前、僧侶が戻ってきて、血まみれだが生きている芳一を見つけた。
「わしの責任だ。そなたの耳にお経が書かれているか確認しなかった。」
芳一はまもなくして怪我から回復した、そして、彼の奇妙な冒険の物語は、芳一を裕福で有名にさせた。
人々は彼を、耳がない芳一、耳なし芳一と呼んだ。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
怖かった~。
耳にもちゃんとお経書いてあげてよぉ。
それでは、 See you next week.