NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年5月16日(金)放送分
小泉八雲が愛した日本の民話
『Rokuro-Kubi』- ろくろ首
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
It’s Friday.
エンジョイ・シンプル・イングリッシュ。
森崎ウィンです。
毎週金曜日は「小泉八雲が愛した日本の民話」です。
今日は「ろくろ首」という話をお届けします。
囘龍という僧侶に起きたこわーーーいお話です。
ストーリー中の英語、
“priest” は「僧侶」、
そして、”sliding screen” は「ふすま」を意味します。
それでは、聞いてみましょう。
Rokuro-Kubi – ろくろ首
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
500年近く前、旅をする僧侶がいました / 囘龍と呼ばれる / 非常に強い侍だった / 彼が若い時。
ある晩 / 甲斐の国で、彼が寝ようとしていた時 / 外で / 通りかかった木こりが / 彼(囘龍)に話しかけました。
「旦那様、ここはとても危険な場所です / 寝るには。
化け物がいます / 近くに。
どうか家へ来てください / 私と一緒に / すぐに。」
囘龍はその親切な男を気に入りました / そして / 受け入れました / 彼の申し出を。
木こりの小さな家で、4人があいさつをしました / 彼(囘龍)に / 最も礼儀正しいやり方で。
囘龍は尋ねました / 木こりがかつて属していたことがあるかどうかを / 上流階級のひとつに。
彼(木こり)は答えました、
「はい、しかし / 私は良い人ではありませんでした / 当時は。
そういうわけで / 私は役に立とうとしています / 人々の / 今は。」
「友よ、あなたは良い心を持っています。
私が祈りましょう / あなたのために / 今夜 / あなたが乗り越えられるように / あなたの過去の過ちを。」
そうして、囘龍は彼の部屋へ行きました / そして / 祈り始めました / 彼の主人(家を貸してくれた人)のために。
夜は美しかった / そして / コオロギの鳴き声が / 聞こえました。
後に、囘龍は喉が渇きました、それで / 彼は障子を開けました / そして / あんどんの明かりによって、彼は見ました / 五つの体を / 首のない!
彼は心の中で考えました、
「ここは家だ / ろくろ首の。
もしろくろ首の胴体が / 移されたら / 違う場所へ、頭は決してできなくなる / その体とくっつくことが / そして / 死ぬ。」
囘龍は押しました / 木こりの体を / 家の外へ。
彼はそれから隠れました / 木の後ろに / 五つの首が飛び回る間 / 庭で。
木こりの首が言いました、
「お前たち見たか / どんなに太っているか / あの旅の僧侶が?
我々は彼を食べることができないだろう / 彼が祈っている間は、しかし / おそらく彼は眠っているかもしれない / 今。
確認しに行ってこい / 彼を。」
若い女の首が / 家へと飛びました / そして / 戻ってきました / すぐに。
「僧侶がいなくなった!
それに / あなたの体もない!」
「私は死ぬ!
だが / 私は彼を食べる / 先に!
あ!私は見える / 彼が隠れているのが / あの木の後ろに!」
五つの首全てが飛びました / 囘龍に向かって / 彼を攻撃するために、しかし / 彼(囘龍)は用意ができていました。
彼(囘龍)はそれら(首)を打ちました / 若い木で / それら(首)が攻撃してきた時。
四つは飛び去りました / しかし / 木こりの首は諦めませんでした。
ついに / それ(木こりの首)は死にました / 袖に噛みつきながら / 囘龍の衣の。
彼(囘龍)はその首を取り外そうとしました / でも / 口が開こうとしませんでした。
囘龍は笑いました。
「なんとすごい土産だ!」
囘龍は旅を続けました / 首をぶら下げながら / 彼の袖から。
ある日、強盗がそれを見ました / そして / 尋ねました、
「俺に売ってくれないか / その首とあんたの衣を?
俺はそれを使いたい / 人々を怖がらせるために。」
「持って行きなさい。
だが / これは首ではない / 人間の。」
囘龍は笑いながら去りました / そして / 強盗はそれ(首)を使いました / しばらくの間。
しかし / 彼(強盗)が本当の話を知ると、強盗は甲斐の山へ行きました / そして / 埋めました / その首を。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
約500年前、囘龍という旅の僧侶がいた、若い頃はとても強い侍だった。
ある晩、甲斐の国で、僧侶が外で寝ようとしていると(野宿)、通りかかった木こりが話しかけてきた。
「旦那様、ここは寝るには大変危険な場所です。近くに化け物がおります。私と共にすぐに我が家へお越しください。」
囘龍はその親切な男を気に入り、申し出を受け入れた。
木こりの小さな家では、四人が最も丁寧な態度で囘龍にあいさつをした。
囘龍は尋ねた、かつて木こりが上流階級のひとつに属していたのではないかと。
木こりは答えた。
「はい、ですが、私は当時、良い人ではなかったのです。ですから、今は人々の役に立とうとしておるのです。」
「友よ、あなたは良い心をお持ちだ。今夜、私が祈りましょう、あなたが過去の過ちを乗り越えられるように。」
そうして、囘龍は自分の部屋へ行き、主人である木こりのために祈り始めた。夜は美しく、コオロギの鳴き声が聞こえた。
その後、囘龍は喉が渇いたので、障子を開けた。すると、あんどんの明かりで、首のない五つの胴体が見えた!
彼は心の中で思った。
「これはろくろ首の家だ。ろくろ首の胴体を別の場所へ移すと、首は決して胴体と繋がることができず、死ぬ。」
囘龍は木こりの胴体を家から押し出した。それから木の陰に隠れた、その時、五つの首が庭を飛び回っていた。
木こりの首が言った。
「あの旅の僧侶がどれだけ太っているか見たか!祈っている間は食べられないだろうが、今は眠っているかもしれない。やつを見に行ってこい。」
若い女の首が家へと飛んで行き、素早く戻ってきた。
「僧侶がいなくなった!それにあなたの胴体もない!」
「私は死ぬ!だが先に僧侶を食ってやる!あっ!あの木の陰に隠れているのが見える!」
五つの首が皆、攻撃するために囘龍に向かって飛んで行った、だが囘龍は覚悟ができていた。首が襲ってきた時、若い木の枝で打った。
四つの首は飛び去ったが、木こりの首は諦めなかった。ついに、囘龍の衣の袖に噛みつきながら、木こりは死んだ。囘龍は首を取ろうとしたが、口が開こうとしなかった。
囘龍は笑った。
「なんと見事な土産だ!」
囘龍は旅を続けた、袖から首をぶら下げて。
ある日、盗賊がそれを見て尋ねた。
「その首とあんたの衣を、俺に売ってくれないか?人を脅かすのに使いたいんだ。」
「持って行け。だが、これは人間の首ではないぞ。」
囘龍は笑いながら去り、盗賊はしばらく首を使った。
しかし、本当の話を知った盗賊は、甲斐の山へ行き、その首を埋めた。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
What a souvenir!
あ゙ー、そんなおみやげいらない!
めっちゃこわいじゃん。
嚙みついて、そこで死んでしまっているっていう首。あ~。
それでは、See you next week!