NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年8月7日(木)放送分
哲学者からの答え
『My Child Won’t Listen』
子どもが言うことを聞かない
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日にお届けするのは「哲学者からの答え」
今日の悩みは「子どもが言うことを聞かない」です。
親の言うことを聞かないと悩むお父さんに、親鸞の考えを紹介します。
ストーリーに出てくる、
“strict” は「厳しい」
“Amida Buddha” は「阿弥陀如来」という意味です。
では、早速聞いてみましょう。
Let’s 哲学!
My Child Won’t Listen – 子どもが言うことを聞かない
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
Tom:
皆さんいかがお過ごしでしょうか / 今日は?
私はトムです / 『哲学者からの答え』の。
Shohei:
そして / 私は小林昌平です。
私は望みます / 私の知識が / 哲学の / 助けになることを / あなたのお悩みを。
Tom:
今日、私たちはメッセージがあります / マコトから、10歳の(子供の)父親です。
Makoto:
こんにちは。
私たちの息子が / 聞きません(私たちの話を、言うことを)。
彼はやめようとしません / オンラインゲームをすることを / 私たちが彼に伝えた時でさえも / やめる時間だと。
私は知っています / 子供たちがいつも聞くわけではないと / 彼らの親の(話を)。
何が私たちにできますか?
私は怒りたくありません / 私の息子に / 常に。
Tom:
昌平、私は待ちきれない / 聞くことを / あなたのアドバイスを。
Shohei:
私は思います / たくさんの方法があると / これに答えるための。
その子供は持っているかもしれない / 理由を / 聞かないことに対する。
Tom:
それは本当です。
Shohei:
そこで / 今日 / 私は共有したい / 考え方を / 有名な日本の仏教家の / 親鸞と呼ばれる。
彼の教えは / 「他人の力」についてです / つまり / 「他力」 / 日本語の。
Tom:
あなたは意図していますか / 他の人々が助けるだろうと / マコトを?
Shohei:
はい / そして / 違います。
親鸞は考えました / たくさんのことがあると / この世界に / 人々がコントロールできない。
限界があります / 私たちができることには / 自分たち自身で。
Tom:
どういう意味ですか?
Shohei:
親鸞は教育されました / 僧として / 若い年齢から / しかし / 彼は年をとるにつれ、彼は疑問を持ち始めました / 厳しい生活に。
彼は / 特に / 考えられずにはいられなかった / 女性について。
何人かは諦めたことでしょう / 僧でいることを、しかし / 彼は開発しました / 個性的な哲学を。
Tom:
何が個性的ですか / それ(開発した哲学)について?
Shohei:
親鸞は努力しました / とても一生懸命に / なるために / 良い僧に / 勉強することや修行することによって。
しかし / 彼は分かりました / それが上手くいかないと。
そこで、彼は変えました / 彼の考えを / 180度 / そして / 分かりました / より良いことだと / 阿弥陀如来が、愛と知恵の象徴である / 私たちを助けることは。
この考え方は呼ばれます / 「他力」と。
(阿弥陀如来が人を助ける=阿弥陀如来にゆだねる、阿弥陀仏のあるがままの世界)
Tom:
わかりました。
Shohei:
親鸞の考えは / 広く人気になりました / なぜなら / 日本の人々は / 当時 / とても困難な生活だったからです。
自然災害や病気がありました / 人々がコントロールすることができない。
Tom:
ちょっと待ってください。
ということは、私たちの答えは / マコトのための / 「諦めなさい / あなたの子供を」ですか?
聞こえません / 良いアドバイスのように。
Shohei:
えっと、私の両親へのアドバイスはこうなります / 努力することです / あなたの子供に言うことを聞いてもらう。
(この文章のwould be=提案、~となります、私ならこう言うでしょう)
もしそれが機能しなければ、ただリラックスしてください / そして / 見てください / 何が起きるか。
Tom:
それは聞こえます / 怖いと / 親にとって。
Shohei:
はい、しかし / よりストレスが少ないです。
子供もまた / 影響されます / 彼らの友達、彼らの環境によって、そして時間にさえ。
Tom:
それは本当です。
マコトの息子は見るかもしれない / 彼の友達が取ることを / より良いテストの成績を / ビデオゲームをしないことで / あまり / そして / 決めるかもしれない / やめることを / ゲームするのを(video games省略)。
Shohei:
その通りです。
Tom:
マコト、私たちは見つけました / あなたの答えを!
最善を尽くしてください / あなたの息子を助けるために、しかし / 知ってください / いつコントロールを諦めるべきか / そして / 信用してください / 他の力のことを!
Shohei:
はい、時々 / 世界は動きます / 不思議な方法で。
Tom:
また次回お会いしましょう!
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
Tom:
皆さん、いかがお過ごしでしょうか?
『哲学者からの答え』のトムです!
Shohei:
そして、私は小林昌平です。
私の哲学の知識が、皆さんのお悩みの助けになれば幸いです。
Tom:
今日は、10歳のお子さんのお父さま、マコトさんからのメッセージです。
Makoto:
こんにちは。
息子が言うことを聞きません。
オンラインゲームをやめようとしないんです、やめる時間だと言っても。
子供が、親の言うことをいつも聞くわけではないと、分かっています。
何ができるでしょうか?
私も常に息子を怒りたくないんです。
Tom:
昌平さん、あなたのアドバイスを聞くのが待ちきれません。
Shohei:
これに対しては、たくさんの答え方があると思います。
子供には、言うことを聞かない理由があるかもしれません。
Tom:
確かに。
Shohei:
そこで、今日は、日本の有名な仏教家、親鸞の考え方をシェアしたいと思います。
彼の教えは、日本語でいう「他力」についてです。
Tom:
他の人々がマコトさんを助けるだろう、という意味ですか?
Shohei:
そうですが、そうではなかったりもします。
親鸞は考えました、この世には人間がコントロールできないことがたくさんあると。
自分たちでできることには限界があります。
Tom:
どういう意味ですか?
Shohei:
親鸞は、若い頃から僧として教育されましたが、年を重ねるにつれ、厳しい生活に疑問を持ち始めました。特に女性については、考えずにいられませんでした。修行僧でいることをあきらめる人もいたでしょうが、親鸞は個性的な哲学を生み出しました。
Tom:
彼の哲学に関して、何が個性的なのでしょうか?
Shohei:
親鸞は、良い僧になるため、とても一生懸命に励みました、勉強や修行をして。しかし、それがうまくいかないことが分かりました。そこで、親鸞は考えを180度変え、愛と知恵の象徴である阿弥陀如来が人を助ける方が良いと分かりました。この考え方は「他力」と呼ばれます。
Tom:
なるほど。
Shohei:
親鸞の考えは広く人気となりました。当時、日本の人々はとても困難な生活だったからです。人々がコントロールできない自然災害や疫病がありました。
Tom:
ちょっと待ってください。
ということは、マコトさんへの答えは「あなたの子供を諦めてください」ということですか?
良いアドバイスのようには聞こえませんが。
Shohei:
えっと、ご両親への私のアドバイスはこうなります、お子さんが言うことを聞くように努力してください。もしそれが上手くいかなければ、ただリラックスして、何が起きるか見てください。
Tom:
それは親にとって怖いですね。
Shohei:
はい、ですがストレスは少なくなります。
子供もまた、友人、環境、そして時間からさえ、影響を受けます。
Tom:
そうですね。
マコトさんの息子さんも、友達があまりゲームをしないで、良いテストの成績を取るのを見て、ゲームをやめようと決めるかもしれません。
Shohei:
その通りです。
Tom:
マコトさん、あなたの答えが見つかりました!
息子さんをサポートするために最善を尽くしてください。ですが、いつコントロールを諦めるべきかを知りましょう、そして、他力を信用してください。
Shohei:
はい、時々、世界は不思議な方法で進みます。
Tom:
また次回お会いしましょう!
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
人間、ひとりの力ではコントロールできないことがたくさんある。
それを認めて、慈悲の心を持つ阿弥陀如来にゆだねようと考えた親鸞。
確かに、人間ひとりの力でコントロールできないことって、世の中、あふれてますよね。
だからこそ、自分自身が謙虚になって、相手や周りを信じる、ということかもしれませんねぇ。
親鸞自身もですね、煩悩を断ち切れないってことを自覚していたという。
いや~、これは深い!
See you tomorrow.
参考図書
2025年度前期(4月~9月)木曜日のテーマ「哲学者からの答え」は、下記の本を参考に英文が執筆されています。
著者:小林昌平さん (哲学者)
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』