NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年8月29日(金)放送分
小泉八雲が愛した日本の民話
『Story of a Fly』
蠅のはなし (後編)
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
It’s Friday!
エンジョイ・シンプル・イングリッシュ。
森崎ウィンです。
毎週金曜日は「小泉八雲が愛した日本の民話」です。
今日は「蠅のはなし」の後編です。
商人の九兵衞のお家で働いていた玉が亡くなった10日後に、季節外れの大きな蠅が現れました。
何を意味するのでしょうか。
ストーリーの中の、
“insect” は「虫」
“tip” は「先端」
“savings” は「貯金」のことですよ。
Let’s listen.
Story of a Fly – 蠅のはなし (前編)
前編はこちらです。
Story of a Fly – 蠅のはなし (後編)
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
一人の女中が / 玉と呼ばれる / 働いていた / ある商人の元で / 九兵衞という名の / 彼女が亡くなった時 / 病気が原因で。
(過去完了 + when 過去形:時系列を表している)
10日 / 彼女の死後、一匹のとても大きな蠅が来た / 九兵衞の家の中に / そして始めた / 彼の頭の周りをぐるぐると飛び回ることを。
これは驚かせた / 九兵衞を / なぜなら / どんな種類の蠅も現れないからだ / 大寒の時期に。
特に、 大きな蠅は珍しい / そして / しか見られない / 暖かい季節に。
その蠅は困らせた / 九兵衞を / なぜなら / それはやめようとしなかったからだ / 彼の頭の周りを飛び回ることを。
そこで / 彼は試した / 捕まえることを / それを。
彼がした時(捕まえた時)、彼は気を付けた / それを傷つけないように / そして / 出した / 家から。
九兵衞は傷つけたくなかった / その蠅を / なぜなら / 彼は真面目な仏教徒だったからだ。
しかし、その蠅はすぐに戻ってきた。
九兵衞はそれを捕まえた / 再び / そして / 投げた / それを / 外へ。
(throw out:捨てる/投げ出す/追い出す、この文脈では「外へ投げた」)
しかし / その後 / それは入った / 三度目に。
彼の妻は思った / それがとても奇妙だと / そして / 言った、
「私は疑問に思う / その蠅が玉ではないかと。
亡くなった人々は / 時々戻ってくる / 昆虫として、ですから。」
九兵衞は笑った / そして / 答えた、
「おそらく / 私たちは知ることができる / 印をつけることで / それに。」
彼は捕まえた / その蠅を / そして / 切った / その羽の先端を / ほんの少しだけ / はさみで。
彼は / それから / それを運んだ / 家から遠くへ / そして / それを行かせた。
その大きな蠅は戻ってきた / 次の日。
九兵衞は / まだ / 信じていなかった / それが玉であり得るとは。
(この文章のcould:可能性)
だから / 彼は捕まえた / それを / 再び / そして今回 / 塗った / その蠅の体と羽を / 口紅で。
彼はそれを運び去った / 家から / はるかに遠い距離まで / 以前よりも / そして解放した。
(a much greater distance = a much further distance)
しかし / 2日後、その赤い蠅は戻ってきた。
九兵衞はやめた / 不思議に思うことを。
「私は思う / それは玉だと。
彼女は何かを欲しがっている / しかし / 何を彼女は欲しいのだろうか?」
彼の妻は答えた、
「私はまだ持っています / 彼女の貯金を / 銀30匁の。
もしかしたら / 彼女は / 私たちにそのお金を渡して欲しいのかもしれません / 寺に / 彼女が法要するために。
玉はいつも気にしていました / 彼女の来世を。」
ちょうどその時、その蠅は落ちた / 障子から / それが羽を休めていた(障子)。
九兵衞はそれを拾い上げた / そして / 分かった / それが死んでいると。
九兵衞と彼の妻は決めた / 寺に行くことを / すぐに / 支払うために / その娘のお金を / 僧侶に。
彼らは入れた / その蠅の体を / 小さな箱の中に / そして / それを持っていった / 彼らと共に。
その寺の住職は / その話を聞いた / そして / 言った / 彼らはしたと / 正しいことを。
それから / 彼(住職)は営んだ / 特別な供養を / 玉の魂のために。
箱は / 蠅の体がある / 埋葬された / その寺に。
卒塔婆が / 特別な仏教の言葉がある / それ(卒塔婆)に書かれた / 置かれた / その場所の上に / その蠅が埋められた(場所)。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
玉と呼ばれた女中は、九兵衞という名の商人の元で働いていた、病で亡くなるその時まで。彼女の死から十日後、一匹の大きな蠅が九兵衞の家に入ってきて、彼の頭の周りをぐるぐると飛び始めた。
これは九兵衞は驚かせた、なぜなら、大寒の時期には、どんな種類の蠅も現れないからだ。特に、大きな蠅は珍しく、暖かい季節にしか見られない。
その蠅は九兵衞を困らせた、なぜなら、頭の周りを飛び回るのをやめようとしなかったからだ。そこで、九兵衞は蠅を捕まえようとした。捕まえる時には、蠅を傷つけないよう注意し、家の外に出した。
九兵衞は蠅を傷つけたくはなかった。真面目な仏教徒だったからだ。
しかし、その蠅はすぐに戻ってきた。九兵衞は再び蠅を捕まえ、外へ投げ出した。だがその後、蠅は入ってきた。三度目である。
九兵衞の妻は、それがとても奇妙だと思い、言った。
「あの蠅は玉ではないかしら。亡くなった人が、虫となって、時々戻って来ますから。」
九兵衞は笑って答えた。
「おそらく、蠅に印をつければ分かるだろう。」
九兵衞は蠅を捕まえ、鋏でほんの少しだけ羽の先端を切った。そして、家から遠く離れたところまで運び、放した。
次の日、その大きな蠅は戻ってきた。その蠅が玉であるか、九兵衞はまだ信じていなかった。九兵衞は再び蠅を捕まえ、今度は、蠅の体と羽を紅で塗った。彼は蠅を、家から以前よりもはるか遠い距離まで運び、放してやった。
だが二日後、その赤い蠅は戻ってきた。九兵衞は疑うのをやめた。
「この蠅は玉だと思う。玉は何かを欲しがっておるが、何が欲しいのか?」
彼の妻が答えた。
「私はまだ、玉の貯金の銀三十匁を持っています。もしかしたら、法要をするために、私たちにそのお金を寺に渡して欲しいのかもしれません。玉はいつも、来世を気にしていましたから。」
ちょうどその時、その蠅は、とまっていた障子から落ちた。九兵衞が拾い上げると、死んでいるのが分かった。
九兵衞と妻は、玉のお金を僧侶に払うため、すぐ寺に行くことにした。二人は蠅の体を小さな箱に入れ、持っていった。
その寺の住職はその話を聞き、二人は正しいことをしたと言った。それから住職は、玉の魂のために特別な供養を営んだ。
蠅の体が入った箱は寺に埋葬された。蠅が埋められた場所の上に、特別な経が書かれた卒塔婆が置かれた。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
やっぱり。
あの “fly”、蠅は玉だったんですねぇ。
自分の供養をしてもらいたくて、来たんだと。
しかも5回も来たんですよ!みなさん、わかりました?
“do the right thing”
「正しいことをする」
大事です!
See you next week!
小泉八雲の書籍
エンジョイ・シンプル・イングリッシュで取り上げられた物語が、収録されている書籍です。
- 日本語版:小泉八雲(著)
- 英語版:Lafcadio Hearn(著)