NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年9月12日(金)放送分
小泉八雲が愛した日本の民話
『Story of a Pheasant』
雉子のはなし (後編)
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
It’s Friday!
エンジョイ・シンプル・イングリッシュ。
森崎ウィンです。
毎週金曜日は「小泉八雲が愛した日本の民話」です。
今日は「雉子のはなし」の後編です。
追われている雉を、米びつの中に隠した妻。
夫に「この雉は、昨夜助けを求めて夢に現れた、亡き義理の父親ではないか」と話します。
それを聞いた夫の取った行動とは。
ストーリーの中の、
“evil” は「邪悪」
“admit” は「認める」のことですよ。
Let’s listen.
Story of a Pheasant – 雉子のはなし (前編)
前編はこちらです。
Story of a Pheasant – 雉子のはなし (後編)
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
ある晩、農夫の妻は夢を見た / 彼女の亡くなった義父の。
彼(義父)は彼女の元へ来た / 夢の中で / そして / 言った / 彼(義父)が大変な危険にさらされるだろうと / もうすぐ。
そして / 次の日、一羽の見事な雄の雉が来た / 彼らの家の中に / 彼女が一人だった時。
それ(雉)は狩られていた / その地区の領主によって。
妻はうまく隠した / その雉を / 米びつの中に / そして / その鳥を救った。
彼女は見せた / その雉を / 彼女の夫に / 彼(夫)が家に帰ってきた時。
農夫は言った、
「父は盲目だった / 片目が。
それは彼の右目だった。
そして / 見なさい / この鳥を。
それもまた盲目だ / 右目が。
私は本当に思う / この鳥が父だと。」
雉は続けた / 見ることを / 農夫を。
「見ろ!
それ(雉)は私を見ている / ちょうど父がよくしていたように!
かわいそうな父は心の中で考えたに違いない、
『いまや私は鳥だから、私は与えることができる / 私の体を / 私の子供たちに / 食料として。
私は猟師たちに自分を食べてほしくない。』
これが説明する / お前の夢を / 昨夜の。」
農夫は向いた / 彼の妻の方へ / 邪悪な笑みをして。
彼は / それから / 雉の首をねじった / そして / それ(雉)を殺した。
女性は悲鳴を上げた / そして / 泣き叫んだ、
「邪悪な人!
人だけが / 悪魔の心を持った / そんなことができる!
私はむしろ死ぬほうがよい / 妻であり続けるよりも / そんな邪悪な男の。」
彼女は戸から走り出た / 履くことさえなく / 彼女の草履を。
彼女の夫は掴んだ / 彼女の袖を、しかし / 彼女はふりほどいて逃げた / 彼から。
彼女は泣いた / 彼女は走りながら。
彼女は止めなかった / 走ることを / 彼女が着くまで / 町に。
それから / 彼女は急いだ / 領主の家へ / そして / 領主に話した / すべてを。
彼女は彼(領主)に話した / 夢、雉、どのように彼女がそれ(雉)を隠したか / そして / どのように彼女の夫がそれ(雉)殺したか。
領主は彼女に話しかけた / 優しく / そしてそれから / 命令を出した / 彼の家来たちに。
「必ずやれ / 彼女が世話されること / そして / 捕まえに行ってくること / 彼女の夫を。」
次の日、農夫は連れてこられた / 領主の前に。
彼は認めた / 殺したことを / 雉を。
領主は彼に言った、
「人だけが / 邪悪な心を持った / 行動できた / そのように。
お前は危険だ / 我々のコミュニティ(地域、町)に対して。
ここの人々は / 彼らの年長者を尊重する、特に彼らの両親を。
お前は許されない / 生活することを / 我々と共に / もう。」
そして / 農夫は追いやられた / その地区から、そして / もし彼が戻ろうとすれば、彼は殺されるだろう。
女性について言えば、領主は与えた / 彼女に / 土地を。
そして / その後、彼(領主)は確実にした / 彼女が与えられるように / 良い夫を。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
ある晩、農夫の妻は、亡くなった舅の夢を見た。舅は、夢で彼女の元に来て言った、自分がもうすぐ大変な危険にさらされるだろうと。そして次の日、彼女が一人の時、一羽の見事な雄の雉が家に入ってきた。雉は、地区の領主に狩りで追われているところだった。妻は、雉を米びつの中にうまく隠し、その鳥を助けた。夫が家に帰った時、妻は夫にその雉を見せた。
農夫は言った。
「父は片目が盲目であった。その目は右目だった。そしてこの鳥を見なさい。この鳥も右目が盲目だ。この鳥は、本当に父だと思う。」
雉は農夫を見続けた。
「見ろ!かつて父がしていたように、わしを見ている!かわいそうな父は、心の中で考えたに違いない。
『いまや俺は鳥だから、自分の体を子供たちに食料として与えることができる。猟師たちには食べられたくない。』
これで、昨夜のお前の夢の説明がついた。」
農夫は邪悪な笑みを浮かべ、妻の方を向いた。そして、雉の首をねじって殺した。
女は悲鳴を上げ、泣き叫んだ。
「邪悪な人!悪魔の心を持った人しか、そんなことできません!こんな邪悪な男の妻であり続けるより、むしろ私は死んだ方がましです!」
彼女は草履さえ履かず、戸口から駆け出した。夫は妻の袖を掴んだ、だが彼女はふりほどいて逃げた。
彼女は走りながらも泣いた。町に着くまで走るのをやめなかった。そして、領主の家へ急いで行き、すべてを領主に話した。夢のこと、雉のこと、自分がどのように雉を隠し、夫がどのように雉を殺したか。
領主は彼女に優しく話しかけ、それから家来たちに命令を出した。
「必ず、彼女を世話して、彼女の夫を捕まえに行け。」
次の日、農夫は領主の前に連れてこられた。農夫は雉を殺したことを認めた。
領主は彼に言った。
「邪悪な心を持った人間だけが、そのような行いができる。お前は我々の町にとって危険だ。ここの人々は、年長者、特に両親を敬う。お前はもう、我々と共に生活することは許されない。」
そうして、農夫はその地区から追い出され、もし戻ろうとすれば、殺されることになった。
女については、領主が彼女に土地を与えた。その後、必ず良い夫がくるようにした。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
ひどい!
“man with the heart of a devil”
悪魔のような心を持った人ですよ、この夫は。
なんで自分の勝手な解釈で、雉を殺しちゃったんだよ。
そりゃ、妻も逃げますよね。
でも、妻が最後、報われてよかったです。
土地ももらって、新しい良い夫ももらって。
はぁ~
See you next week!
小泉八雲の書籍
エンジョイ・シンプル・イングリッシュで取り上げられた物語が、収録されている書籍です。
- 日本語版:小泉八雲(著)
- 英語版:Lafcadio Hearn(著)