最近、TOEICを受験して「以前より難しくなった?」と感じたことがあるかもしれません。
特に、リスニングの会話が長くなったり、リーディングの文章量が増えたりと、形式的な変化も相まって、その傾向は顕著です。
しかし、解く試験の難易度が上がっているのは、単に形式が変わっただけではないかもしれません。
この記事では、一部の超高得点取得者の存在が、試験の難化傾向に影響している可能性について推察します。
1.TOEICのスコアは「偏差値」のようなもの
TOEICのスコアは、単純な正解数で決まりません。つまり、何問正解したから何点、という一律の採点ではないのです。
毎回、受験者全体の正解率やスコアの分布に基づいて統計的に調整されています。これは、試験の回によって難易度にばらつきがあっても、スコアの公平性を保つためです。
たとえば、もしある回の試験が簡単で、多くの人が高得点を取ったとします。この場合、スコアは厳しめに算出されます。
逆に、難しい回では、スコアは甘めに算出され、平均点が極端に低くならないように調整されます。
この仕組みは、例えるなら「偏差値」のようなもの。
他の受験者と比べてどのくらいの位置にいるか、相対的に示されているのが「TOEICのスコア」です。
2.熟練の受験者が難易度を押し上げる
TOEICには、「毎回受験して満点を目指す、TOEIC攻略のエキスパートたち」が存在します。
英語上級者であることは言うまでもありませんが、試験の傾向や出題パターンを熟知しており、毎回のように高得点を取得します。
エキスパートは少数派かもしれませんが、その存在は試験全体の平均点を確実に押し上げます。そして、平均点が上がれば上がるほど、統計的に算出されるスコアはより厳しくなります。
つまり、以前なら900点取れた正解数でも、平均点が上がったことで900点を下回ってしまう、といった現象が起こりやすくなるのです。
容易に満点を取れてしまうようでは、試験としての差別化が難しくなります。
結果として、より複雑な文脈理解や、難解な語彙、多様なシチュエーションを問う問題が増え、試験全体の難易度が上がっている可能性は否定できません。
3.難しくなったからこそ、本質的な英語力が問われる
形式の変更や、エキスパートたちの存在によって、TOEICが難しくなったと感じるのは事実かもしれません。しかし、それは決して悪いことではありません。
以前のTOEICは、特定の対策をすれば高得点が取りやすい面もありました。英語の意味がわからなくても、パターンで解ける問題もありました。
しかし、現在のTOEICは、より多様な情報を素早く処理する能力や、文脈を正確に読み解く力など、実践的な英語力がなければ通用しません。
つまり、TOEICは単なる「試験」ではなく、「ビジネスや日常生活で使える、本物の英語力」を測るためのツールへと進化していると言えます。
実際、Part 7のマルチパッセージに出てくるE-mailは、海外営業部門や外資系企業の実務でも経験する内容です。
TOEICの難化傾向に、ハイスコアラーたちが関係している可能性は考えられますが、同時に、より実践的な英語学習へと向かうきっかけを与えてくれるものでもあると言えるでしょう。
4.受験前は必ず最新の公式問題集を
TOEICの出題傾向は、単語や文法知識だけでなく、文脈を正確に理解する力を問うものが増え、より実践的な英語力が求められるように変化しています。
そのため、本番の出題意図を正確に把握するためには、最新の公式問題集が不可欠です。
最新のTOEIC公式問題集を解く際には、単に問題を解くだけでなく、答え合わせの後、1問1問「なぜこの答えになるのか」を深く考え、出題者の意図を読み解くトレーニングをすることで、この難化傾向に対応できる力が身につきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。