NHKラジオ番組『古典講読』を聴いています。
2024年度は「名場面でつづる『源氏物語』」が放送されています。
源氏物語を、想像以上に楽しく分かりやすく味わえる番組で、聞くだけではもったいないと思い、45分の番組内容を要約しXへ投稿するようになりました。
誰かに読んで欲しいと思ってポストしていたわけではありませんが、その要約が楽しいとおっしゃってくださるフォロワーさんがいらっしゃいましたので、過去のポストをまとめました。
『古典講読』- 名場面でつづる『源氏物語』
源氏物語は、世界で初めて、人の心の動きや感情が書かれた小説です。
番組は、源氏物語独特の心の動きや表現と、江戸時代の2人の研究者の解釈の違いバトルを(北村 季吟 vs 本居 宣長)、丁寧に上品に解説してくれていて、とても興味深く、厳かで雅な番組です。
※ 北村 季吟が書いた源氏物語の注釈書が『湖月抄』
朗読の加賀美 幸子さんは、元NHKアナウンサー。アナウンサー界では”レジェンド”と呼ばれているすごい方だそうです。

私のお気に入りポイントは、解説の島内先生が、上品に淡々と解説しながら、たまにさらっと毒を吐くところです。
各回を100字でザクっと要約
高校の古文の授業や、少女漫画「あさきゆめみし」、宝塚歌劇、映画等から、源氏物語の筋は何となく知っていました。
今回このラジオ番組で、初めてしっかりと源氏物語を聞きました。
季節の描写や心の機微など実に美しい物語で、ストーリー展開も見事で、現代の小説・映画・ドラマにもすごく影響を与えていて、千年を超えてもなお、愛される文学作品である理由が分かりました。
そして、その情緒的な表現や場面、文学的考察など、源氏物語の良さを、跡形もなくバッサリ消した要約を、Xに投稿したのがこちらです。なぜかこれが好評です(笑)
源氏物語 第1部
要約は、番組の第5回から始めました。
最初の4回分はございませんこと、ご了承くださいませ。
帚木の巻(2)+空蝉
光源氏16歳
人妻に惚れる。空蝉は身分違い&人妻だからと彼を拒む、それがいじらしいとまた寝所に行く、空蝉は後ろ髪引かれる思いで逃げた、偶然いた別の女と致し、空蝉に会いたかったと文を出す、別の女は放置。
読み:帚木(ほうきぎ)
夕顔の巻(1)
光源氏16歳 夏の逆ナン
乳母(惟光母)を見舞いに庶民の住宅街へ、身分を隠していても近隣の女性がざわつく、夕顔が咲く家から扇が届く、差出人不明の文に光源氏も警戒、筆跡をごまかし返歌、後日素性を隠し通う。

結局行くんかーい!
補足:惟光は、源氏の腹心の家来
夕顔の巻(2)
光源氏16歳8月 十五夜
夕顔に入り浸り、十五夜に交わると不吉という迷信も破る、これが悲劇の伏線に。
六条の御息所が嫉妬で源氏の夢に現れる、目覚めると夕顔がぐったり。
家来の惟光も女の所にいて助けが遅れる。夕顔が逝く、丁寧に弔う。
光源氏16歳 10月
空蝉が夫の転勤で都を離れることに。源氏は多くの餞別を送る。彼女が脱ぎ残した衣と文も添えた。空蝉は戻ってきた衣を見て、もう会えないことを実感し、別れと愛を伝える文を返す。拒まれ続けたが本当は愛されていたと知る源氏。
秋の終わりと共に、2つの恋も終わった。
若紫の巻(1)
光源氏17歳
病にかかり祈祷が効かない。凄腕祈祷師がいる鞍馬寺へ。
道中、家来が明石の入道の話をする。源氏はその娘が気になる(出会うのは9年後、明石の君の伏線)
鞍馬寺に着き、僧坊の女性達の中にいた10歳の若紫に目がいく。

源氏、元気やん。
若紫の巻(2)
藤壺(帝の側室、源氏の初恋)が体調を崩し宮中から下がる。源氏は女房に頼み込み密通。翌朝もう会えないのが辛すぎて立てないほど凹む源氏。
鞍馬寺から若紫を引き取り育てる。
藤壺が懐妊…
末摘花の巻
夕顔の死後、傷心中。
貧相な家に住む女に興味本位で通う。絶対に顔を見せてくれないが、ある朝一瞬見えて絶句…(容姿の描写がえげつないため以後省略)
解説より…紫式部の悪ふざけにも見える「末摘花の巻」 真剣な恋物語だけだと重い、緩衝材の役割。
紅葉賀の巻
光源氏18歳 2月
藤壺(帝の側室)が源氏の子を産む。帝(源氏の父)は我が子だと思っている。春、藤壺のところに源氏が遊びに来ていた。我が子に初めて会い感動。帝も来た。赤子を抱き源氏に似て美しいと言う。複雑な気持ちの源氏。冷や汗の藤壺。

修羅場…
読み:紅葉賀(もみじのが)
花宴の巻
光源氏19歳
帝主催の桜の宴で見事な舞を披露。お開き後も興奮がおさまらない。藤壺に会いたくなるも錠がかかっている。近くから女の声が。女の腕をつかむ。怖がる女(朧月夜)。優しい声で「この出会いは前世からの宿命」と歌を詠み密儀。

仕事が早い!お見事!
読み:花宴(はなのえん)
葵の巻
光源氏21歳
自然消滅を悟った六条の御息所は未練たらたら。葵上(正室)と揉め事が起きて怒り爆発。お産中に取り憑く。苦しむ葵上に優しく声をかけた源氏に生霊が炎上。出産後、葵上が逝く。
喪が明け家に戻る。14歳に成長した紫の上(元若紫)に女を感じ新枕。
賢木の巻(1)
光源氏22歳秋
六条の御息所は生霊の噂が広まり都に居づらい。伊勢に下向する娘と一緒に行くことを決意。最後の挨拶に行く源氏。恨み言も思い出話も全て話し、わだかまりが溶け、美しい別れとなり、めでたしめでたし。

正室に取り憑いた相手に「永遠に愛している」と本気で言える源氏すごい
読み:賢木(さかき)
賢木の巻(2)
光源氏23歳
藤壺の寝所に突撃。6年ぶりに顔を見て理性を失う。衣と髪を掴まれ逃れられない藤壺。すがる源氏に嫌悪感。院の崩御後、藤壺は掴まれた髪を下ろし出家。
春にナンパした朧月夜は右大臣の娘。密会を続けていた。雨の夜、寝所に右大臣が来てバレる。
花散里の巻
光源氏24歳5月
右大臣の娘(朧月夜)との密会が露見。院(源氏の父)が崩御し後ろ盾がなく辛い。
麗景殿(院の側室)の妹で過去に通った花散里を思い出す。麗景殿を見舞う名目で花散里と会う。
ちなみに道中、一度きりの女の家を通ったため歌を送ってみたが門前払い。
須磨の巻(1)
光源氏25歳3月
朧月夜の件で右大臣が源氏の失脚を画策。僻地へ追放される前に自ら引いた。都からそう遠くない須磨へ。都に戻れた前例はなくこれが生涯の別れ。紫の上が悲しむ。自分の悲しみは堪え明るく発った源氏。 秋の須磨、さびれた暮らしが寂しく辛く涙。

解説によると、「源氏物語」全54帖で、この「須磨の巻」で読むことを諦める読者が多いそうです。
須磨の巻(2)
中秋の名月には宮中を思い出し、殺風景な冬に金の琴を弾くも侘しく、新春には桜の宴を思い出し、都が恋しい。
親友 頭中将も寂しがっていた。須磨を訪れ涙の再会。
ある日、大嵐後の明け方、龍神に海底へ引き込まれる不気味な夢で起きた。
明石の巻へ続く…

解説より:読者は続きが気になり、夢中で”明石の巻”を読み始める。気づいたら「源氏物語」の最大の難所”須磨の巻”を読み終えている。
頭中将:左大臣の息子、源氏のライバルでもあり親友
明石の巻(1)
光源氏26歳3月
嵐が続き屋敷にも落雷。まるで天罰のよう。死の恐怖を感じていると院(亡き父)が夢に。神の導きで須磨を離れるようにと。 直後、明石の入道が夢のお告げで源氏を迎えに来る。明石へ移りもてなしを受ける。
源氏の贖罪はこれで完了したのだろうか?

解説より:源氏の贖罪が完了したと思うかは読者にゆだねられている。解説の島内先生は、不十分、だからこそ40歳を超えてから厳しい人生の真実に向き合うこととなったのだと思う、とのご感想。
源氏の贖罪とは:藤壺(院の側室)と密通し、生まれてきた子を東宮(次期天皇)としたこと。
明石の巻(2)
亡き院が朱雀帝(源氏兄)の夢にも現れ、源氏の処遇に怒りを示す。夢の後、帝が目を病む。
8月、入道の希望で源氏が明石の上の寝所へ。知らされていなかった女は驚いて、奥の部屋に閉じこもるが、あっさり結ばれ深い仲に。年明け身ごもる。
7月、源氏は都に召喚。明石の上と切ない別れ。

明石の上は奥の部屋へ行き、つっかえ棒で扉を開かないように閉じこもったのに、源氏はどうしたものか奥の部屋に入った、とのこと。
どうやって?何でもできる源氏。
澪標の巻
光源氏 27歳10月
内大臣に昇進、明石の君が女児出産。
10年前の予言は、男1帝、男2太政大臣、女1后。
実際に藤壺の子が帝(冷泉帝)になった。后は明石の君の女児のはず。都へ呼ぶ準備を始める源氏。
住吉詣の際、明石の君が、出世後オーラ全開の源氏を見て負い目を感じる。

太政大臣になるのは、葵上(正室)との子、夕霧です。
読み:澪標(みおつくし)
蓬生の巻

この章は『末摘花の巻』の後日談
光源氏 27歳~28歳
源氏が須磨に発って以降、援助が途絶えた末摘花の屋敷は荒れ放題。生活は困窮。
源氏は都に戻っても末摘花の存在を忘れていた。
春、花散里に会いたくなり外出。道中、荒れ果てた家の前を通った時、末摘花の家だと気付き再会。援助も再開。
読み:蓬生(よもぎう)
関屋の巻

この章は『空蝉』の後日談
光源氏28歳9月
空蝉は夫の4年任期後で上洛中
源氏は石山寺詣の道中
大阪の関所で偶然すれ違う一行
12年ぶりの再会で感動するも、人目を気にして社交辞令の歌しか送れない源氏。受け取った空蝉も想いが蘇り歌を詠む。
源氏が石山寺詣を終えた時、右衛門佐(空蝉弟)が出迎えに来て謝罪した。
右衛門佐は、かつて源氏が目をかけていた男。須磨下向時に付いて来ず空蝉の供をした。源氏はそれを根に持っていた。
逆に、権力になびかず須磨に付いて来た者へは、都に戻ってから人事で報いていた。
源氏の「信賞必罰」な政治姿勢が見える一幕。
関屋:大阪の関所にある建物
信賞必罰:厳格で冷酷にアメとムチを使いわける
絵合の巻
光源氏30歳
六条の御息所の娘を養女にし冷泉帝(源氏と藤壺の不義の子)に入内させた。(梅壺の女御)
先に入内していた頭中将の娘(弘徽殿の女御)が寵愛を受けていた。
美術好きの帝の心を梅壺に向けさせるため絵合の会を開く。
最初は劣勢だったが、源氏が書いた須磨絵日記が皆の心を打ち圧勝。
絵合の会:互いに持ち寄った絵を品評し優劣を決める会

番組では、本居宣長が湖月抄の解釈を否定しまくる解説を聞くのが楽しくなってきました。
島内先生がどちらの解釈を取るか、冷静にキレ良く判断されているのも楽しいです。
松風の巻
光源氏30歳
明石の君と娘(3歳)を迎えるため自宅を増築。だが2人は親族の元住居に住む(嵐山付近)。
源氏は月2回、嵯峨詣と称し通う。紫の上が嫉妬。
源氏は娘を養女にし入内させたい。実の娘として育てて欲しいと紫の上に打診。子供を持てることは嬉しい紫の上、快諾。(源氏と紫の上の間に子は授かっていない)

源氏が紫の上に嫉妬しているか聞くのですが、紫の上は「源氏のために嫉妬しているフリをしている」と強がります。そういうところが男心をくすぐるのかと勉強になりました。
(今さら男心をくすぐる状況はこないと思いますが笑)
薄雲の巻
光源氏30歳
伝染病&政治不安定。日食月食など天界が不穏だと人々は大騒ぎ。陰陽道は、帝の父の不当な扱いが原因と奏上。
藤壺(36歳)の見舞いに行った源氏。帝(源氏と藤壺の不義の子)を案ずる話の途中で藤壺が息を引き取る。臨終には立ち会えたものの、藤壺の逝去に言葉もないほど嘆き悲しむ。
僧が冷泉帝に「父は源氏」と告げる。
帝も源氏も激しく動揺。
朝顔の巻
光源氏31歳
源氏を拒んだ唯一の女性、朝顔。
ある夜、朝顔の屋敷の正門へ。錠が開かず困る門番。朝顔の父の死後、正門は使われなくなり錆びていた。
自分も華の時期はあっという間で30歳を過ぎた。錆と重ねて自分の人生をしみじみ振り返る源氏。
朝顔にはつれなく拒絶され帰宅。

朝顔の屋敷に訪問する場面の解説を始める前に、島内先生が一言、
「ここは、マイ フェイバリット シーンです。」
とおっしゃって、びっくりしてむせました笑
少女の巻
光源氏32歳
息子夕霧の教育問題。自分は内大臣にも関わらず学が浅い。夕霧には大学で学んでほしい。
光源氏34歳
広大な六条院が完成。4方位の女主人は以下
南東(春&晩秋):源氏、紫の上、明石の姫君
南西(秋):梅壺
北東(夏):花散里
北西(冬):明石の君
夕霧:故葵上(正室)と源氏の子
玉鬘の巻
光源氏35歳
頭中将と夕顔の娘玉鬘
夕顔が急死後、乳母と九州にいたが豪族に求婚され、海路で都に逃げ戻る。
長谷寺詣の際、紫の上に仕えている右近と出会う。彼女は過去に夕顔に仕えていて、玉鬘を探していた。
源氏が玉鬘の存在を知り、養女として六条院に迎える。
初音の巻
光源氏36歳元日
六条院が落成し、玉鬘も迎え、女君が全員揃った記念すべき正月。
春の御殿で紫の上と新年の挨拶をした後、明石の姫君(9歳)と会う。実母(明石の君)から祝いの品と歌が届いていた。姫が詠んだ返歌に成長を感じ、娘に会えない明石の君を想う。
他の御殿にも挨拶。
最後は冬の御殿、明石の君の元へ。
源氏の気配を感じ隠れた明石の君。
姫への想いが書かれた紙を見て、教養に感心する源氏。(悲劇の母の演出成功)
様子を見ていた明石の君が姿を現す。
書き物には本心が表れているが、源氏には何も言わない所が源氏の心をくすぐる。
元日は、正妻格の紫の上と過ごすのが習わしだが、つい明石の君と一夜を過ごしてしまう。
噂が六条院を駆け巡る。
2日、暗いうちに紫の上の元へ戻った源氏。
「ついうたた寝をしてしまった」と下手な言い訳。紫の上の嫉妬はおさまらない。
来客対応に忙しいのを口実に紫の上とは顔を合わせないようにした。
読み:初音(はつね)

明石の君は、聡明な女性として描かれ、源氏はそこに惹かれます。私には強かであざとさが目立つ女性です。六条院の女房たちがあれこれ言う場面は私を代弁しているようで…女って怖い(笑)
胡蝶の巻
光源氏36歳 晩春~初夏
春の御殿が見事な見頃。源氏が作らせていた豪華な船に、秋の御殿から女房らが乗って来て美しさに圧倒される。
翌日、紫の上が春の御殿を自慢する歌を梅壺に送る。昨日誘ってくれなかったと返歌する梅壺。
紫の上と梅壺のバチバチバトル
梅壺=秋好中宮、秋の御殿の主
蛍の巻
光源氏36歳夏
源氏の弟、兵部卿宮は玉鬘が好きだった。ある夜、3人が一緒にいる時、源氏は袖から蛍を放ち、兵部卿宮に玉鬘の美しさを見せ、弟をさらに焚きつける。
別の日、源氏と玉鬘が物語論を繰り広げる。
源氏の台詞は、実は紫式部の本音。
- 神々の時代から人間が生まれた現代まで物語には様々な事が書かれている
- 漢文で書かれた日本書紀は我が国の文化を知る最高の資料
- 日本書紀は歴史の一部しか扱っていない
- ひらがなで書かれている物語は論じている対象が広い
- 物語の方が、我が国を形作る根幹である政に関する有益なことが書かれている
- 物語は様々な人物が登場する
- 登場人物が実在しているかはあからさまには書いていない
- 好意的な人物もいれば、読者を呆れさせる滑稽な人物もいる
- 物語は人々の実態に即している
- 物語内の素晴らしい人物は、長所を全て持ち合わせているように書かれるが、実際にそんな人間はいない
- かといって、実在している人物の良い点を集約して描かれているから、空言でもない
- 人々の滑稽な点も1人の人物に集約して描かれている(例:末摘花)
- 物語に登場する良い人も悪い人も、実際にはこの世にいる人ばかりである
- 物語は仏の教えを受け最高の物語を書いている
- 物語は全て空言ではなく真実であるともいえ、仏法と同じと結論づけた
常夏の巻
光源氏36歳夏
玉鬘は頭中将(内大臣)の娘だが頭中将は知らない。周囲にも源氏の娘ということになっている。
源氏が玉鬘に、いつか父親に会わせてあげたい、16歳の時に頭中将と夕顔の仲を知りながら通ったことなどを話す。玉鬘が控え目に父への想いを語る様子に、恋心が募る源氏。
(玉鬘23歳、紫の上29歳、明石の君28歳)
頭中将の娘 雲居の雁は、源氏の息子 夕霧と恋仲。
頭中将は娘を入内させたいので悩んでいた。
娘を訪ねると、薄着で昼寝中。女房達まで昼寝中で誰も気付かない。
起こして娘に説教。 途中から、源氏のお妃教育批判にすり替わる。
篝火の巻
光源氏36歳初秋
人恋しくなる秋。夫気分の源氏は玉鬘を訪ねて1日過ごす。
暗くなると、周りの目もあるし帰ろうとするが帰りたくない源氏。
かがり火を見て、あの炎のように私の心は燃えていると告白。
玉鬘は困惑しながらもやんわり拒否る。

解説より:源氏の好色に毛嫌いした読者もいるかもしれない。名誉のために補足すると、源氏と玉鬘には1度も男女の行為はなかった。
読み:篝火(かがりび)
野分の巻
夕霧16歳、紫の上29歳、源氏36歳秋
源氏に挨拶しに春の御殿へ来た夕霧。父不在。
風が強く御簾が舞い上がり紫の上を初めて見た夕霧。あまりの美しさと気品に驚嘆。
父戻る。話す2人の姿は美男美女。
夕霧はわかった、父が紫の上に会わせてくれなかった理由を。
行幸の巻
光源氏(太政大臣)36歳冬
頭中将(内大臣)と久々の対面。
源氏の目的は、
・玉鬘が頭中将の娘であることをカミングアウト
・源氏の息子(夕霧)と頭中将の娘(雲居の雁)の結婚
まずは、今でも友人だと切り出し場を和ませる源氏。
腹を探りつつも源氏には勝てないと降参の頭中将。
藤袴の巻
光源氏37歳夏
髭黒から求婚されている玉鬘。
夕霧は、源氏と玉鬘が添い寝しているのを見たことがある。
夕霧が父を責める、2人は男女の仲で、玉鬘を愛人にしようとしている、頭中将も同じことを言っていたと。
源氏は路整然と夕霧に答える、養父の自分ではなく実の父である頭中将が決めれば良いと。
真木柱の巻
光源氏37歳
玉鬘は髭黒の側室になった。
髭黒の正室は紫の上の異母姉妹。
妻がもののけに苦しんでいたのに、髭黒は玉鬘に夢中。
妻は子供を連れ実家に帰ることにした。父に溺愛されていた娘はごねる。母急かす。
娘は、いつも背もたれにしていた思い出の柱(真木柱)の割れ目に、別れの歌を差し込み家を出る。
髭黒:政治の有力者、東宮の母方の叔父
読み:真木柱(まきばしら)
梅枝の巻
光源氏39歳春
明石の姫君の入内準備が進行中。嫁入り道具に仮名文字のお手本も用意された。
源氏が紫の上に語る、元カノの仮名文字の印象を。
- 六条の御息所:自然な筆使いが絶品
- 藤壺:品性あり、奥行きなし
- 紫の上:現代の代表美文字
六条の御息所は、源氏の心が離れたと考えていたが、自分は彼女をずっと愛していた、と話す。
自分の文字を褒められて謙遜する紫の上。

歴代の元カノの話をする源氏。
それを黙って聞き、自分の文字を褒められ謙遜する紫の上。
なるほど(笑)
読み:梅枝(うめがえ)
藤裏葉の巻
光源氏39歳
明石の姫君(12歳)が東宮に入内。
実母である明石の君が、宮中の世話役になり娘とやっと対面。
養母の紫の上と明石の君も初対面。
長年しこりがあったが和解。お互いの人柄に触れ、源氏が惚れるのも納得した両者。
源氏は准太上天皇となり栄華の頂点。
上皇や冷泉帝も揃った華やかな秋の宴が催される。
源氏(39歳)、冷泉帝(22歳)、夕霧(19歳)、容姿が素晴らしい。
ん?3人そっくりじゃない?

解説より:もしここで源氏物語が終わっていればハッピーエンドだった。
だが紫式部には、ハッピーエンドで筆を置くつもりは最初からなかったと思われる。
冷泉帝:桐壺院と藤壺の子、実は源氏と藤壺の不義の子(知っているのは源氏・藤壺・冷泉帝だけ)
読み:藤裏葉(ふじのうらば)
源氏物語 第2部
『藤裏葉の巻』までが第1部、『若菜の巻』から第2部です。
若菜上の巻(1)
光源氏40歳
病気がちの朱雀院、出家前に溺愛している娘の女三宮を嫁がせたい。
源氏と柏木を比較し、悩んだ結果、源氏の正妻にする。
女三宮が降嫁。六条院に引っ越し。
3日目の夜、女三宮の元へ行く源氏を紫の上が送り出す。
優柔不断な源氏。悲しい作り笑いの紫の上。
寝付けない紫の上。
都と須磨で離れた3年、その後の幸せな思い出で気を紛らわせるも、一睡もできず、鶏が泣いた。
同じ時、源氏の夢に紫の上が現れ、心配で急いで戻る。
涙で濡れた袖を隠し、怒っているでも許しているでもない様子の紫の上。
愛しさを感じる源氏。
期待外れだった女三宮とつい比較してしまう。
柏木:頭中将の嫡男、母は朧月夜の姉
女三宮:光源氏の姪、母は藤壺の異母妹
読み:若菜上の巻(わかな じょうのまき)
若菜上の巻(2)
光源氏41歳
明石の姫君(14歳)が無事男児を出産。
明石の入道は、子孫が将来天皇になることを喜ぶ。
明石の君が生まれる前に見た夢が全て正夢になったこと、いつも幸せを願っていることを手紙に書き(遺書)、明石の君へ送り、山へ入り消息を絶つ。

解説より:明石の入道の生き方は、わが身を犠牲にし子孫の幸福を呼び寄せた。ここまで滑稽だった入道の真実の姿がここで明らかになった。
女三宮の屋敷は、だらけた雰囲気。女房たちもだらしない。
2匹の猫が走り回り、女性陣がはしたなく大騒ぎ。猫につないであった紐が簾を巻き上げた。
庭の端で蹴鞠をしていた柏木が、御簾の奥に立っていた女三宮をチラ見して一目惚れ。
帰り道、柏木が夕霧に話す。源氏は紫の上を寵愛し、身分の高い女三宮を蔑ろにしていると批判する。
夕霧:故葵上(正室)と源氏の子
読み:若菜上の巻(わかな じょうのまき)
若菜下の巻(1)
光源氏41歳
柏木が女三宮の猫を言葉巧みに手に入れた。
猫が可愛いほど女三宮への恋心が募る。
光源氏46歳
冷泉帝(29歳)が病気で退位。在位18年。
実父が源氏だと知らないフリをした代償なのか、皇子に恵まれず子孫に皇位を継がせられなかった帝を不憫に思う源氏。
今上帝が即位、明石の姫君が中宮になる。
住吉大社で盛大な儀式を行う。儀式中、明石での思い出に浸るセンチメンタル源氏。昔話ができるはずの頭中将は太政大臣を退任。
光源氏47歳正月
六条院での楽器演奏会。
各女性が花に例えられる。誰の視点での描写かは不明(夕霧?源氏?紫式部?)
- 女三宮:青柳、小さくかわいく気品がある
- 紫の上:桜、濃い紫の衣に豊かな髪、華やかであでやか、無双の美しさ
- 明石の君:花も実もある花橘をもぎ取ったときのかぐわしさ
- 明石の中宮:朝景色の中で咲き誇る藤の花
源氏が女三宮と過ごす夜が増えた。
ある夜、紫の上が胸を病み熱を出す。女三宮の屋敷へ使いを出さぬよう気丈に指示する紫の上。
見かねた明石の君が使いを出す。源氏が慌てて戻る。
読み:若菜下の巻(わかな げのまき)
若菜下の巻(2)
光源氏47歳
紫の上が療養で二条院へ。
源氏は二条院と六条院を行ったり来たり。
紫の上が危篤になり祈祷をすると、六条の御息所参上。
源氏への嫉妬&未練たらたら。源氏うんざり。
源氏が六条院不在中、柏木が女三宮へ突撃。
想いを伝えるつもりだけが、ギャップ萌えで我慢できず密儀。
明け方、柏木が猫の夢を見る。(動物の夢は懐妊のしらせ)
起きてから、最高権力者 源氏の正妻に手を出してしまったことにビクビクする。
源氏が六条院に戻ったある日、女三宮が見ていた恋文を不意に見つける。筆跡で柏木とわかり悟る。
藤壺のことを思い出し、桐壺院は2人への愛情から知らぬふりをしてくれてたのかもと思った源氏。
だが、源氏は柏木に情がない。
女三宮が懐妊。
宴で久しぶりに柏木と会った源氏はイヤミMAX。
生きた心地のしない柏木。宴後病気になる。
読み:若菜下の巻(わかな げのまき)
柏木の巻
光源氏48歳
柏木は宴後の病気がどんどん悪化し重病。最後の恋文を送る。
逝く時はあなたと一緒だと返事が届き歓喜。(女三宮は渋々書いてた)
女三宮が薫を出産。柏木が逝く。薫を抱いた源氏は複雑。
皆が柏木を追悼する。親友の夕霧は柏木の妻を気にかけてあげる。
薫:柏木と女三宮の不義の子、表向きは源氏の子。

柏木も妻おったんかい!
解説より:この巻を読んで、柏木の死を哀れだと思わない人などいないでしょう、とのこと。
この要約ではそこが伝わってないかと。ご興味ございましたら、他サイトでちゃんとしたあらすじをご確認くださいませ。
横笛の巻
光源氏49歳
薫を抱き思う。六条院の血筋に不穏な影。もう自分は49歳だし、子孫たちの最後までを見届けられず心配。でも無垢な赤子はかわいい。
夕霧は柏木の妻を見舞っていた。柏木の家の者が横笛を夕霧に渡す。
その夜、柏木が夢に現れ横笛を薫に渡して欲しそうにする。
夕霧が源氏に伝える。源氏は形見と察した。
柏木は笛の名手だった。横笛は陽成院から伝わる由緒ある横笛だが、柏木の家の者はその価値がわからなかったのだろう。源氏が横笛を預かる。
鈴虫の巻
光源氏50歳
薫出産後、女三宮は出家。
朱雀院から三条宮へ移るよう勧められていた。
八月十五夜、鈴虫の音の中、女三宮を引き留める源氏。
秋好中宮は、母である六条の御息所がいまだ成仏せず、霊が紫の上&女三宮を苦しめたことを恥じ出家を望む。源氏が引き留める。
皆が現世への未練と葛藤している巻。
夕霧の巻
光源氏50歳、夕霧30歳
夕霧には妻2人子12人いたが、亡き親友の柏木の妻 女二宮の高貴な血筋に惹かれた。
女二宮の母親、一条の御息所が病気で療養していた。
女二宮も母親に付き添っていたため、療養先へ通う夕霧。
ある日、夕霧と女二宮は一夜を共にしたが事はなかった。
しかし翌朝、一条の御息所は、娘の部屋から出てきた夕霧を見かける。
一条の御息所は、娘との関係を聞く手紙を夕霧に送る。
薄々気付いていた雲居の雁(夕霧の正室)が手紙を奪って読む。
病気の一条の御息所に心配をかけ反省する夕霧。
雲居の雁が手紙を奪ったせいで返事が書けなかったと、嫁の下品な行動にキレる。
夕霧から返事が来ず絶望した一条の御息所が逝く。
悲しむ女二宮はしばらく夕霧を受け入れなかったが、やがて結ばれる。
源氏は、これまで真面目だった息子、夕霧の変わりように心配しつつ、自分が亡き後、誰かが紫の上を奪うのではないかと心配する。
女二宮:別名 落葉の宮、朱雀帝の娘

このあらすじだと、息子も親もどっちもどっちな内容になってしまいましたので、他サイトでちゃんとしたあらすじをご確認くださいませ。
御法の巻
光源氏51歳、紫の上44歳、明石の中宮24歳
3月、紫の上主催の法要が行われる。
寿命を悟っている紫の上は演奏などを聞くのもこれが最後と思う。
花散里や明石の君とも歌を交わす。これが六条院の女主人達との最後の別れとなる。
8月14日、紫の上を見舞う明石の中宮。最後かもしれず宮中に帰れない。
夕方に源氏が戻る。久しぶりに起きている姿を見て喜ぶ。
紫の上が辞世の歌を詠む。源氏はすぐ後を追うと返歌し涙。中宮も涙。
このまま3人でいつまでもと思った直後に急変。
夜が明ける前逝く。
皆が大きな悲しみに包まれ、夜明け前に見る夢なのではないかと思える。
翌15日の暁に葬儀が行われる。
解説より:紫の上逝去直前の源氏の心は詳しく語られていない。
幻の巻
光源氏52歳、紫の上を偲ぶ1年間
女房達(愛人)の前で人生を振り返る。
もっと早く出家すべきだったが、いざとなると諦めが悪かったと。
(解説より)源氏はこれ以上ない素晴らしさを持って生まれ、喜びも悲しみもとてつもなく大きい主人公。最後に、自分ほど苦しんだ人間はいないとしみじみ述べている。主人公が苦しい人生を歩んでいることで、読者に希望を与えることができる。
年の瀬、年が明けたら出家することにしていたため、過去の手紙を焼却。
27年前の須磨にいた頃の紫の上から届いた手紙も残っていた。読み返し悲しみがこみ上げる。
大晦日、孫たちの声を聞きながら、俗世間での最後の歌を詠む。
(解説より)これが生前の源氏を描いた最後の巻。
雲隠の巻
(解説より)雲隠の巻は、タイトルだけで本文はない。源氏の死をあえて描かなかったと考えられている。
源氏物語 続編
作者が紫式部ではない説もあるが、湖月抄では紫式部が作者であるとの解釈。
解説より:7年という月日を経て文体も変化していったのではないか。
『匂兵部卿の巻』から第3部が始まります。
匂兵部卿の巻
薫14歳
源氏は出家から2,3年後逝去。源氏ほど優れた人物はもういないが評判の2人がいた。
薫と匂の宮である。良いライバル関係で親しかった。
薫は源氏が実父ではないと薄々気付いており、気付かないフリをしつつも悩んでいた。
匂の宮は色恋に熱心だった。
読み:匂兵部卿の巻(におうひょうぶきょうのみや のまき)
薫:源氏と女三宮の息子、実は柏木と女三宮の不義の子
匂の宮:源氏の孫、明石の中宮の息子
紅梅の巻
紅梅大納言(頭中将の次男)が、幼い頃に源氏と会った思い出に浸り、もう源氏がいないことに悲しみがこみ上げる。
竹河の巻
髭黒の死後、玉鬘と子供たちが集まり、大きく育った満開の桜の木を見ながら、父や幸せだった頃の思い出話をする。
読み:竹河の巻(たけかわ のまき)
橋姫の巻(1)
この巻の始まりは、桐壺の巻と同じ始まり方
「いずれの御代でありましたか、世間からすっかり忘れ去られた皇族がおられました。」
八の宮は、かつては出世の可能性があったが権力闘争に巻き込まれ敗退。今は冷遇され世間からも忘れ去られていた。
夫婦仲は良く幸せだったが、娘を出産して妻は先立ち、家まで全焼。
都を離れ宇治の山荘に移り、妻のいない寂しさに絶望。
薫19歳
八の宮は宇治の寺で仏道を学んでいた。
薫は、実父が源氏でないことを薄々知っているのに誰にも言えず悩んでいて、仏道を学び始めた。
宮中で八の宮の名を聞き興味を持ち、文を交わす仲に。その内、宇治にも会いに行くようになった。
読み:橋姫の巻(はしひめ のまき)
八の宮:桐壺帝の八男、光源氏の義母弟
橋姫の巻(2)
晩秋、薫は宇治の八の宮を訪ねるが彼は不在。
留守番中の娘2人が、月の下で琵琶と琴を手に楽しそうに雑談している姿を薫が見る。(恐らくここで一目惚れ)
八の宮が不在のため長女大君が薫の対応。歌を詠み合う。
この歌をきっかけに交際が始まる。
八の宮家の老女房(弁)は柏木の乳母の娘。弁は柏木と女三宮の密通に深く関わっていた。
成長した薫と会い号泣。女三宮に渡せずにいた柏木の遺書を薫に渡す。
都に戻り、20年前の遺書を読み、全てを知り衝撃を受けた薫。
絶対誰にも言えない。悩みが深くなる。
椎本の巻
八の宮が山寺へ読経に。出発前に娘たちへ話す。
人は死別を避けられないが、心残りは2人に後見人を付けてないこと。ただし軽薄な男には付いていくな。宇治で一生を終えなさい。これが遺言となる。
八の宮は山寺で体調を崩し回復せず。家に戻ることも叶わず息を引き取る。
読み:椎本の巻(しいがもと のまき)
総角の巻(1)
薫23歳秋
八の宮一周忌法要を仕切る。
大君へ恋心を詠むも返歌でフラれる。
女房たちは、家柄の良い薫と大君が結婚するのが将来のためにも良いと望んでいた。そこで、大君の幸せのため、良かれと思い薫を寝室へ手引きする。
2人は何もなく朝を迎え、大君から友達でいましょ的な話になる。
薫1回目の突撃は失敗。
大君は、妹と薫が結ばれればいいのにと思う。
薫、再び女房たちに導かれるまま大君の寝室へ。
触れると別人。妹の中君だった。一瞬このまま進むか考え、大君への想いから手を引く。
薫2回目の突撃も失敗。
大君は薫が来ることを察知し、寝室から逃げていたのだった。
薫は、妹が他の男性と結ばれれば、振り向いてくれるかもしれないと考え、大君の逃げ場を失くすため、親友匂宮と中君を引き合わせる。2人は相性も良くあっさり結ばれる。
読み:総角の巻(あげまき のまき)
総角の巻(2)
匂宮が他の用事を口実に宇治へ来たが、人目を気にして中君に会わず都へ帰った。
中君は事情があったかもと気にしなかったが、大君は、匂宮の好色の噂から、妹がもて遊ばれていると妄想し、思い詰め、人間不信になり、心を病み、逝く。
薫になす術はなかった。火葬まで見守り空しさを抱え都へ帰る。
早蕨の巻
薫24歳
中君は父 八の宮の遺言に背き宇治を去り、匂宮がいる都の二条院へ行くことを決意。
出発前に薫と語らう。中君の魅力に触れた薫は何もなかったあの一夜を思い出す。
中君が宇治を出発。険しい道中に今後の不安がよぎる。
夜、二条院着。煌びやかな邸宅に感動する中君。
待ちわびた匂宮が出迎え、妻格のもてなし。
周囲もそれを見て、匂宮の妻の1人として中君の地位が定まった。
匂宮の母 明石の中宮も、宇治へ通っていた匂宮を快く思ってなかったが、暗黙の内に認めたようである。
読み:早蕨の巻(さわらび のまき)
宿木の巻
薫23歳(1つ前の”早蕨の巻”から1年遡った話)
藤壺の女御の喪中、娘女二宮と碁を打っていた帝。
途中でお気に入りの薫を呼ぶ。
いつもと同じ碁かと思いきや、薫が勝ったら褒美をやると帝が言う。
2勝1敗で薫が勝ち。帝が女二宮との結婚を承諾した。
この時は大君に恋をしていた薫、ちょっと複雑。
薫24~25歳
匂宮は帝の指示で夕霧の娘とも結婚。
中君は妊娠中。匂宮に絶望し宇治に帰ろうかと悩んでいた。
大君の亡き後、想いが強まるあまり中君へ恋心を抱くようになった薫。
中君のところへ行っては、大君への未練を漏らす薫。
同情しつつも、薫がうっとうしい中君。
そこで、中君は薫に浮舟の存在を教える。
浮舟は大君&中君と母違いで、父 八の宮が認知してなかった娘。
年明け、薫は女二宮と婚儀。
4月、宇治を訪れた薫は浮舟を見かける。
大君と似ていて涙があふれる。声は中君に似ていた。
大君と生き写しの浮舟に薫は心を奪われた。
読み:宿木の巻(やどりぎ のまき)
東屋の巻
薫25歳夏
浮舟の母親は別の縁談を進めた。
しかし相手が金目当ての男で、向こうから断られる。
そこで母親は、二条城にいる中君に浮舟を預けた。
ある日、浮舟は匂宮に口説かれるが、間一髪で逃れた。
浮舟は二条院から撤収。
母親が用意した三条の家は侘しく、ふとあの日の匂宮を思い出す。
無意識に心を奪われていたのだった。
母には気丈な文を出し、心配をかけないようにした。
薫がようやく行動開始。
まず宇治へ行き、弁(八の宮家の老女房)に浮舟との橋渡しを依頼。
薫は三条の浮舟の家で契る。
薫は浮舟を連れ宇治へ行く。
悪路の山中、牛車の中で浮舟を抱きしめながら、大君を思い出し袖が濡れるほど泣く薫。
(この薫の未練が波乱を起こす…)
浮舟の巻(1)
薫26歳、匂宮27歳、浮舟21歳
匂宮は、気になっていた浮舟が薫の愛人で宇治にいると知る。
薫は宇治にほぼ通ってなかった。
匂宮は宇治へ行き、薫のモノマネで女房を騙し寝室へ。
浮舟は、相手が薫ではないと気付いたが誰か分からず抵抗もできなかった。襲われた後、匂宮と気付く。ただ泣くばかりの浮舟。
匂宮は、浮舟が薫の愛人だから、今後もそう簡単に会えないさみしさで泣く。
久々に宇治へ来た薫。浮舟と匂宮との関係は知らない。
月を見て、大君への未練に浸る何もわかってない薫と、薫からの愛を信じられない浮舟。
少し会わない間に艶っぽくなった浮舟を見て、自分への愛を感じ無邪気に喜ぶ薫。
歌を詠み合うも噛み合わない2人。
また匂宮が宇治へ。宇治川を渡る船でも、隠れ家でも、匂宮は情熱的な愛の言葉を次々と浮舟に贈る。
浮舟の巻(2)
1月、薫は浮舟を都へ迎えようとしていた。それを匂宮が知る。
薫と匂宮と浮舟の文が頻繁に行き交う。
ある時、薫が2人のやり取りに気付き、浮舟へ問いただす歌を送る。
浮舟は宛先違い?と返送。内心動揺。
3月、薫の指示で宇治の警備が強化され、匂宮は浮舟に会えない。
匂宮は、薫より先に浮舟を連れ出す作戦だったが、途方に暮れ都へ帰る。
浮舟は追い詰められ入水を決意。辞世の歌を匂宮だけに送る。
浮舟母は不吉な夢を見たと文を送る。周囲も様子のおかしい浮舟を心配。
浮舟22歳、恋に振り回された彼女の人生が幕を閉じた。
蜻蛉の巻
翌朝、浮舟がいなくなったことに気付いた宇治は大騒ぎ。
辞世の歌を発見した女房は入水と見当をつけ、浮舟母に匂宮との件を伝える。
母は遺体を探そうとしたが女房が止め、遺体なきまま葬儀。
匂宮は知らせを聞き病に伏したが、49日後新たな恋を始めた。
薫26歳、夏の六条院
薫は、明石の中宮の娘である女一宮に仕える女房を愛人にし、心を慰めていた。
だが実は女一宮に強く憧れていた。
明石の中宮が、源氏と紫の上の盛大な法要を行った。法要後、薫が愛人に会いに行くと、女一宮が一緒にいた。
涼むために氷を触る様子が優美で、後で妻の女二宮に同じことをさせた。
読み:蜻蛉の巻(かげろう のまき)
手習の巻
比叡山の僧たちが、荒廃した不気味な宇治院に来た。
外の荒れ地で白いものが見え、恐る恐る近づくと女性だった。
僧たちは女性を助け、一緒に小野へ移動。
僧が霊を払い意識が回復した女性。
彼女は浮舟だった。
一度は入水したものの、宇治とはまた違った小野の山里の風景を穏やかに感じた。
しかし、とある男が浮舟に惹かれ寝室にきた。
浮舟は間一髪で逃れたが、俗世が嫌になり出家する。
人を介して、都にいる薫が浮舟の生存を知る。
読み:手習の巻(てならい のまき)
夢浮橋の巻
薫27歳
浮舟を助けた比叡山の僧に会いに行き事情を話す。
僧と薫は浮舟を責める手紙を送る。
配達したのは浮舟弟。
浮舟は弟には会いたかったが、手紙で気が滅入り、弟にも会わず返事も書かず帰した。
返事がなかったことで薫はまた別の男がいるのではと、
解説より:この書きかけの文章で源氏物語は終わりです。 薫と浮舟のその後は読者に託されました。
読み:夢浮橋の巻(ゆめのうきはし のまき)
番組最終回「おわりに」
『古典講読』- 名場面でつづる『源氏物語』、番組最終回は、島内先生による解説でした。
時代の変遷による文学に対する考え方の移り変わりや、源氏物語が批判されたり称賛されたりした歴史、森鷗外などの近代文学に源氏物語が与えた影響などのお話でした。

特に心に残った部分を以下に。
番組では、湖月抄解釈と本居宣長解釈の違いも見てきた。本居宣長が湖月抄解釈に反論していた所も取り上げた
湖月抄解釈(戦国時代)
・鎌倉時代~戦国時代450年間を調べ上げた上で、源氏物語を読み解いている
・「人間関係が調和している世の中こそ平和な理想社会」が湖月抄の基本理念
本居宣長解釈(江戸時代)
・湖月抄に反論
・仏教儒教思想に染まらない
湖月抄解釈が今も支持され、源氏物語が教えてくれるものとは
・人間関係の調和から平和が生まれる
・社会生活の中で人が感じる幸せ
古文を要約したら英語学習にも効果が出た
こちらのブログは、英語ブログですので、古文『源氏物語』に関する記事は意外に思われるかもしれません。
確かに、大河ドラマ『光る君へ』の影響を受け、娯楽で聞き始めたラジオ番組です。
ですが、「45分という長い番組で聞いた物語のあらすじを要約する」という毎週のルーティンが、英語学習にも意外な効果がありました。
同じ日本語でも、現代文と古文は大きく異なります。古文で書かれた物語を、自分の言葉で短くまとめる練習は、英語の読解にも活かされていると感じています。特に、ラジオ英語講座で、ストーリーの展開を把握しやすくなったのは、この練習のおかげかもしれません。
一見、英語学習とは何の関係がないようでも、情報を整理して要点だけを伝えるという作業が、英語の読解力や理解力にもつながる、と新しい発見でした。
2024年度、英検は試験内容がリニューアルされ、要約問題が新設されました。受験するかどうかはさておき、いつかこの経験が役に立つかもしれないなと思ったりしています。
追伸:英検準1級の勉強を始めた
と、2024年夏の時点では書いていましたが、2024年11月から英検準1級の学習を始めました。
まず取りかかったのは苦手な単語対策です。使った参考書は『文で覚える単熟語』、通称 “文単” です。
文単の英文を学習する時に、日本語での要約もすることにしました。
「日本語で要約できなければ英語も無理だろう」と思ったからです。
内容を理解し自分の言葉で言語化する作業は、英語にも日本語にもためになると実感しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
単行本:名場面でつづる『源氏物語』
『古典講読』の解説者 島内景二さん執筆の本です。
公式テキストではありませんが、こちらの本とラジオの内容がリンクしています。