NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年6月6日(木)放送分
古典が語る西洋の知恵
「The Donkey and the Salt -塩を運ぶろば-」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日は、2019年度に放送した「Wisdom from the West」
人生の知恵や教訓をさりげなく教えてくれるイソップ寓話を集めました。
今回は「The Donkey and the Salt、塩を運ぶろば」です。
では早速聞いてみましょう!
The Donkey and the Salt -塩を運ぶろば-
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
1人の男と1頭のロバが海に向かって歩いていました。
男は海へ行っていました、塩を買うために、毎日。
彼はロバを使っていました、塩を運ぶために。
ロバは幸せなロバではありませんでした。ロバは思いました。
「僕は自分の仕事が大嫌いだ。塩がいつもとても重いんだ。」
家に帰る途中、橋のない川がありました。その川は深くありません、だから男とロバはいつも水に入って、川を渡っていました。2人はこれをしていました、毎日。そして今日も同じでした。
2人が川に来たとき、男は言いました。
「よし、ロバよ。川を渡ろう。今日はあまり冷たくないだろう。」
そして、ロバは川に入り、歩いて渡り始めました。
ロバは思いました。
「僕は水の中を歩くのが好きじゃない。あの男は簡単にこの川を歩いて渡れる、だって何も運んでないんだから。でも僕にとっては、難しいんだ、この重い塩袋を持ちながらは。」
男とロバは無事に川の真ん中まで渡りました。すると、ロバは大きな石を踏んで、転んでしまいました。
男はすぐにロバが立ち上がれるよう助けました。
ロバは再び歩き始めたとき、驚きました。
「塩袋がすごく軽く感じる。ああ!もしかして、塩が溶けてなくなったのかもしれない、僕が転んだときに!僕はとても運がいい!」
そして、ロバは幸せなロバになりました。
次の日、男とロバは海へ行きました、さらに塩を得るために。
戻る途中、2人はまた川に来ました。
男はロバに言いました。
「今回は気をつけるんだぞ。水に落ちるなよ、俺は塩を失いたくないからな。」
しかし、ロバには自分の計画がありました。
「今なら僕は自分の仕事をもっと簡単にできるんだ!」
ロバはまた転びました、前の日と同じ場所で。
そして、塩はまた溶けてなくなりました。
ロバは軽くなった袋を持って立ち上がり、思いました。
「よし!やったぞ!」
ロバは幸せでした、でも男はとても怒っていました。彼はロバの計画を理解しました。
男は家に帰りませんでした、今回は。
彼はすぐにロバを海に連れ戻しました。男は大きな箱のスポンジを買って、ロバの背中の上に乗せました。
川で、ロバはまた転びました。
でも、今回は、水がスポンジの中に入りました、そしてスポンジは前より重くなりました!
ロバは思いました。
「僕は愚か者だった。同じ策略がいつでも上手くはいかない。今、僕は本当に重い袋を運ばなければならない…」
同じ手がいつでも通用するとは限らない。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
1人の男と1頭のロバが海に向かって歩いていました。男は毎日、塩を買うために海に行っていました。彼はロバに塩を運ばせていました。
ロバは幸せなロバではありませんでした。ロバは思いました。
「こんな仕事は大嫌いだ。いつも塩が重くて仕方がない。」
帰り道、橋のない川がありました。川は深くなかったので、男とロバはいつも水に入って、歩いて渡っていました。毎日2人はそうしていて、今日も同じでした。
2人が川に着くと、男は言いました。
「よし、ロバよ。川を渡ろう。今日はあまり冷たくないだろう。」
そして、ロバは川に入り、歩いて渡り始めました。
ロバは思いました。
「水の中を歩くのは好きじゃない。あの男は何も持ってないから、簡単にこの川を歩いて渡れる。けど僕にとっては、この重い塩袋を持ちながらで難しいんだ。」
男とロバは無事に川の真ん中まで来ました。すると、ロバは大きな石を踏んで転んでしまいました。
男はすぐにロバを起こしてあげました。
ロバは再び歩き始めると、驚きました。
「塩袋がとても軽くなった気がする。ああ!もしかして、転んだ時に塩が溶けてなくなったのか!なんて運がいいんだ!」
そして、ロバは幸せなロバになりました。
次の日、男とロバはさらに塩を買うために海に行きました。
帰り道、再び2人は川に来ました。男はロバに言いました。
「今回は気をつけるんだぞ。塩をなくしたくないから、水に落ちるんじゃないぞ。」
しかし、ロバには自分の計画がありました。
「今の僕なら仕事をもっと楽にできるんだ!」
ロバは前の日と同じ場所でまた転びました。そして塩はまた溶けてなくなりました。ロバは軽くなった袋を持って立ち上がり、思いました。
「やった! 成功した!」
ロバは喜んでいましたが、男はとても怒っていました。彼はロバの計画を理解しました。
今回、男は家に帰りませんでした。彼はすぐにロバを海に連れ戻しました。男は大きなスポンジの箱を買い、ロバの背中に乗せました。
川で、ロバはまた転びました。でも、今回はスポンジに水が染み込み、前より重くなってしまいました!
ロバは思いました。
「僕はバカだった。同じ作戦がいつでも上手くいくわけじゃない。今は本当に重い袋を運ばなきゃいけなくなった…」
同じ手がいつでも通用するとは限らない。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
The same measure will not suit all circumstances.
「同じ手がいつも通用するとは限らない」でしたねー。
いや、素敵な教訓です。
確かに、いったん楽なね、手段 “measure” を見つけてしまうと、つい同じことしがちですよね。
ただ、同じ状況 “circumstances” が続くわけではありません。
素敵な教訓でした。
それでは、See you tomorrow!