NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年6月20日(金)放送分
小泉八雲が愛した日本の民話
『The Story of Aoyagi』- 青柳のはなし
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
It’s Friday!
Enjoy Simple English の森崎ウィンです。
毎週金曜日にお送りするのは「Stories Lafcadio Hearn Collected around Japan」
今日お届けするのは「青柳のはなし」です。
ストーリーの中の、
“lord” は「領主」
“willow tree” は「やなぎの木」
“stump” は「切り株」のことを意味しますよ。
では、Let’s listen to the story together.
The Story of Aoyagi – 青柳のはなし
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
昔、若い侍がいた / 友忠という名の。
彼は働いていた / 領主のために / 能登国の。
ある冬、彼は送られた / 使命を帯びて / 会うために / 偉大な大名に / 京都の。
向かう途中 / 京都へ / 彼は立ち止まらなければならなかった / 吹雪のせいで。
彼は見つけた / 小さな家を / 丘の頂上に / 柳の木がある / その(小さな家)周りに。
親切な老夫婦が迎えた / 彼を。
小さな家の中で、彼は少女を見た / 美しい / どの女性よりも / これまで彼が見てきた。
少女がお酌した時 / 彼に日本酒を、老人は言った、
「私たちの娘、青柳は、ずっと住んでいます / 山に。
申し訳ございません / もし彼女が欠いていたら / 作法を。」
しかし / 友忠は思った / 彼女が動く / 上品に、そして / 彼らは話すことができた / お互いに / 詩を通して。
彼はどうしようもなく恋をし、そして / 彼は分かった / 彼女も彼が好きだと。
彼は言った、
「どうか私に結婚させてください / あなたの娘と。」
「彼女は十分ではありません / 侍の妻になるには。」
老人は返事をした。
「しかし / 私たちは確信しています / あなたが優しくするだろうと / 彼女に。」
京都で、友忠は恐れた。
侍は許されなかった / 結婚することを / 許可なしで / 彼の領主から。
また、京都の領主は好きだった / かわいい少女が。
青柳はすぐに気づかれ / そして / 連れ去られた。
友忠は詩を書いた / 28文字の漢字の / 彼女へ / 示すために / 彼の情熱と / 彼の喪失の苦しみを。
しかし / 彼は殺されるだろう / もし誰かが見つけたら / その詩を。
翌日 / 彼が詩を送った、友忠は呼ばれた / 屋敷へ。
涙を浮かべ / 彼(領主)の目に、領主は言った、
「私は読んだ / お前の美しい手紙を。
私は与える / お前に許可を / 彼女と結婚することの。
お前の結婚式は / 開催する / ここで / 今すぐ。」
幸せな5年間 / その結婚式の後の、友忠と青柳は暮らした / 一緒に。
しかし / ある朝、青柳は突然大声で叫んだ / 痛みに。
彼女はとても青白くなった / そして / 動かなくなった。
それから / 彼女は言った / 弱く、
「私たちの結婚は因縁だったに違いありません。
そして / 私は思います / 私たちは一緒になると / また / いつか。
しかし / 今は、終わりです。」
「休みさない、そうすれば / あなたは良くなるだろう。」
「いいえ、私は死にます。
だから / 今 / 私は話せます / あなたに真実を。
私は人間ではありません。
私の魂は来ています / 木から。
そして今 / 誰かが切り倒しています / 私を。
あー!」
もう一つの苦痛の叫びと共に、彼女の全身が崩れ落ちるようだった / 奇妙すぎる形で。
それ(彼女の全身)は始めた / 沈むことを、下へ、そして下へ / 床へと。
彼女の着物はまだあった / そこに、しかし / 彼女の体は今はなかった。
友忠はなった / 旅の僧侶に。
どこでも / 彼が訪れた、彼は祈った / 青柳の魂のために。
彼が来た時 / その場所に / 彼が初めて彼女に会った(場所)、小さな家はなくなっていた。
何もなかった / そこに / 三本の柳の木の切り株以外は、二本は古く / そして一本は若かった。
それらは切り倒されていた / ずっと前に / 彼の到着の。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
昔、友忠という若い侍がいた。彼は能登国の領主に仕えていた。
ある冬、彼は、京都の偉大な大名に会う使命を帯びて送られた。
京都への道中、友忠は吹雪のせいで立ち止まらざるを得なかった。彼は、丘の頂上に、周囲を柳に囲まれた小屋を見つけた。親切な老夫婦が迎え入れてくれた。
小屋の中で、友忠は、これまで見てきたどの女性よりも美しい娘を見た。
娘が彼に日本酒をお酌した時、老人は言った、
「私どもの娘、青柳はずっと山で暮らしております。もし作法がなっておりませんでしたら、申し訳ございません。」
しかし友忠は、彼女の動きが上品だと思った、そして彼らは和歌を通して互いに話すことができた。
友忠はどうしようもなく恋に落ちた、そして分かった、彼女も自分のことが好きだと。
友忠は言った、
「どうか娘さんと結婚させてください。」
「あの子は侍の妻にはふさわしくありません。」
と老人は答えた。
「ですが、あなたが娘に優しくしてくださることは確かでしょう。」
京都で、友忠は恐れた。侍が、領主の許可なく結婚することは許されていなかった。
また、京都の領主はかわいい少女が好きだった。青柳はすぐに気づかれ、連れ去られた。
友忠は、青柳宛てに28文字の漢詩を書いた、情熱と喪失の痛みを示すために。だが、もし誰かがその漢詩を見つければ、友忠は殺されるだろう。
漢詩を送った翌日、友忠は屋敷に呼ばれた。
領主は目に涙を浮かべながら言った、
「お前の美しい文を読んだ。彼女との結婚の許可を与えよう。婚礼は今すぐここで行う。」
その婚礼から幸福の5年間、友忠と青柳は共に暮らした。
しかしある朝、青柳は突然、苦痛で泣き叫んだ。彼女は真っ青になり、動かなくなった。
それから、弱々しく言った、
「私たちの結婚は、因縁だったに違いありません。そして、いつかまた一緒になれると思います。ですが今は終わりです。」
「休めば、良くなるだろう。」
「いいえ、私は死にます。ですから今、あなたに真実を話せます。私は人間ではありません。私の魂は木から来ています。そして今、誰かが私を切り倒しています。あー!」
もう一度苦痛の叫びを上げると、彼女の全身が、これ以上なく奇妙に崩れ落ちるようだった。体は沈み始め、下へ、下へ、そして床へと沈んでいった。彼女の着物はそこにまだあったが、体はもうなくなっていた。
友忠は旅の僧となった。訪れた先々で、青柳の魂のために祈った。
初めて彼女に会った場所に来ると、小屋はなくなっていた。
そこには何もなかった、三本の柳の木の切り株以外は。二本は古く、一本は若かった。
彼が到着するずっと前に、それらは切り倒されていた。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
ぐっときました。
元の場所に戻ったら、二つの古い切り株と、一つの若い切り株があった!
わあ!
See you next Monday!
小泉八雲の書籍
エンジョイ・シンプル・イングリッシュで取り上げられた物語が、収録されている書籍です。
- 日本語版:小泉八雲(著)
- 英語版:Lafcadio Hearn(著)