NHKラジオ英語番組「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」
2024年4月4日(木)放送分
2024年10月3日(木)再放送
古典が語る西洋の知恵
「The Fox and the Grapes -きつねとぶどう-」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、直訳寄りにしております。
- 直訳8割、意訳2割を意識しています
- 巻末のword listの訳をできるだけ使用しています
- 英語の語順になるべく沿わせています
- 意訳は私なりの解釈です
- 極端に意訳した部分は直訳文も記載しました
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Hello, everyone.
It’s time for Enjoy Simple English.
今年度からナビゲーターを務める森崎ウィンです。
毎週木曜日は、2019年度に放送した「Wisdom from the West」をお送りします。
人生の知恵や教訓をさりげなく教えてくれるイソップ寓話を集めました。
今日は「The Fox and the Grapes、きつねとぶどう」です。
これ僕も知らないんですごく楽しみです。
早速聞いてみましょう。
The Fox and the Grapes -きつねとぶどう-
それは美しい、暖かい日でした。キツネは道を歩き、午後を楽しんでいました。
すると、大きな緑のブドウの木(ぶどうのつる)が見えました、大きな紫色のブドウが実っている。
キツネは思いました。
キツネ:うーん、このブドウは食べごろに見える。1つ食べたいな。美味しいに決まってる!とても大きくてジューシーそう!
キツネは長い間そのブドウを見ていました。心の中では、すでにブドウを食べていました。
しかし問題がありました。ブドウは彼の頭のはるか上にありました。彼はブドウに手が届きませんでした。
彼は少しの間、考えました。そして、キツネは良いアイデアを思いつきました。
キツネ:分かったぞ。僕は跳べるんだ。なぜ先にそれを考えつかなかったのだろう?僕は跳ぶしかない、そうしたら、ブドウを食べることができるぞ!
そして、キツネは飛び跳ね始めました、ブドウを手に入れるために。
ですがキツネはブドウに触れることができませんでした。とうとう、キツネはとても疲れて座りました、休憩するために。
彼は再び考え始めました。彼は諦めたくありませんでした。彼はとてもブドウを食べたかったのです。
キツネ:よし、分かったぞ。走ってから跳ぶことにしよう。跳ぶ前に走れば、もっと高く跳べる!僕はとても賢いなあ!さあ、行くぞ!
キツネは少し道の向こうに引き返し、走る準備をしました。
彼は思いました。
キツネ:僕ならできる。ブドウを食べたいんだ!いち、にの、さん!
キツネはブドウまで駆け上がり、できるだけ高く跳びました。彼は空中を飛びましたが、まだブドウに触れることすらできませんでした。
キツネ:惜しかった。もう少しだったのに。次こそ絶対にできる。
(直訳:僕はとても近かった。ほとんど手に入れた。次はできることが分かっている)
キツネは何度も何度も試みました。でも毎回、彼はぶどうに手が届きませんでした。キツネは座りました。彼はとても疲れていました、何度も跳んだから。
キツネ:僕はもう跳べない。僕の中に残っている力はもうないよ。
疲れたキツネははるか上にあるブドウを見上げました。彼はとても食べたかったのですが、ブドウはとにかく高すぎる(場所にありました)。
そこでキツネは違う方に考え始めました。彼は思いました。
キツネ:僕は愚か者だ、あのブドウは甘くない。酸っぱいに違いない。見てごらんよ。紫色が強すぎる。それに大きすぎる。もう!僕は大バカ者だ。酸っぱいブドウのために跳び跳ねていたなんて。
キツネはブドウの木から歩き去りました、怒った表情で。
得られないものを憎むのは簡単だ。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
まさに人生の知恵、教訓。
もー、勉強になりましたね、このお話は。
ちなみに、英語で “sour grapes” という表現があるんですけれども、この寓話から生まれたそうなんですね。
使い方としては、ま、これは例えば、仕事の面接に落ちた時、そんな時に、
That is just sour grapes.
みたいなこう「大した仕事じゃなかったよ」とか、その負け惜しみとして使うそうです。
みなさん、僕がさっき言ったのは、あくまでも例文ですからね(笑)
I hope you will join me tomorrow.
Have a great day!
メモ
日本のことわざでは「酸っぱい蒲萄」
“負け惜しみ”や”言い訳”を意味する
人間には、達成できない目標、手に入れることが難しいものに対して、憎しみを抱きやすい心理的傾向がある。
[教訓]手に入れられないものを嫌うのではなく、それを目指して努力することが大切。