NHKラジオ英語番組「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ」
2024年4月5日(金)放送分
ルパン ~怪盗紳士~
「ルパンの逮捕 第1話」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、直訳寄りにしております。
- 直訳8割、意訳2割を意識しています
- 巻末のword listの訳をできるだけ使用しています
- 英語の語順になるべく沿わせています
- 意訳は私なりの解釈です
- 極端に意訳している部分は直訳文も記載しました
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
(2024年10月の再放送時に追記します)
The Arrest of Arsène Lupin -ルパンの逮捕 第1話-
何とも奇妙な航海だった。始まりは順調だった。
蒸気船プロヴァンス号は、大西洋を横断し、ヨーロッパからアメリカへ乗客を運んでいた。船上の生活は、世界から切り離された島で生活しているようなものだった。
乗客たちは、面識のない他人と、非常に親密に生活しなければならなかった。
(直訳:乗客たちは、以前に会ったことのない他の人々と、非常に親密に生活しなければならなかった。)
旅の2日目、我々は激しい嵐の真っ只中にいて、そのとき船は無線を受信した。
「アルセーヌ・ルパンがその船に乗っている、一等船室、金髪、右腕に傷あり、1人旅をしている、名前はR…」
その瞬間、嵐の空に稲妻がぴかっと光った。
電報は全文が届かなかった。我々に分かったことは、有名な泥棒のアルセーヌ・ルパンが、”R”で始まる偽名を使って旅をしていることだけだった。彼が使っている名前の、残りの部分を知ることはなかった。
それは信じられないことだった。ガニマールというフランスの最も賢い刑事が、ここしばらくの間、アルセーヌ・ルパンを追い続けていた。そして今、その有名な紳士泥棒が、我々の蒸気船に潜んでいるというのだ!
ルパンは、上流階級の城や大邸宅からだけ盗みを働く、魅力的な紳士だった。
彼は、ロシアの医者や、はたまたスペインの闘牛士にさえ、なりすますことができた。彼は、青年から老人にまで変装することができた。
(直訳:彼は、ロシアの医者や、スペインの闘牛士にさえ見えるように自分を作ることができた。彼は、若い男から老人まで変わることができた。)
我々は皆、非常に興奮していた。誰かが彼に会ったかもしれない。昨夜、我々の夕食の席に彼が座っていたかもしれないのだ!
「ダンドレジーさん、あなたはこの船の船長と親しくされてますわね。何かご存知のはずですわ。」
ネリー・アンダーダウン嬢が、私に話しかけた。彼女はとても美しく、父親はシカゴの大金持ちだった。最初、僕は彼女にほんの少ししか興味がなかった。だが、すぐに彼女の魅力的な人柄に良い印象を持ち、彼女に恋をした。
「詳しくは知りませんが、ガニマール刑事のようにこれを解明してみませんか?」
「どのようにするのかしら?難しそうだわ。」
「簡単ですよ。彼を見つける手がかりがあるんです。」
「手がかりですって?」
「ええ。まず、我々に分かるのは、彼が”R”で始まる偽名を使っていること。さらに分かっているのは、彼の髪は金髪で、1人で旅をしているということです。」
「それだけの情報で十分なのかしら?」
(直訳:それは十分な情報ですか?)
「ええ。乗客リストを入念に調べて、これら3つの条件に一致する乗客を見つけます。名前が”R”で始まる紳士は13名しかいません。」
「たったの13人?」
「そして、その紳士たちの内、9名は、女性か子供か使用人と一緒に旅をしています。これで4名の名前が残ります。そして、その4名の男性の内、1人だけが金髪です。どなたかロゼーヌ氏をよくご存じないですか?」
ネリー嬢は、金髪の静かな若い男性に向かって振り返った。
「何かおっしゃりたいことはございませんこと?ロゼーヌさん」
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
(2024年10月の再放送時に追記します)