NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年6月7日(金)放送分
ルパン ~怪盗紳士~
「あやしい旅行者 第1話」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Hello, everyone.
Enjoy Simple English.
It’s Friday!
森崎ウィンです。
毎週金曜日は「怪盗紳士ルパン」の名作をお届けします。
今月のストーリーは「The Mysterious Traveler、あやしい旅行者」です。
場所はパリ駅。
ルパンと貴婦人が座る列車の個室に、いきなりあやしい旅人が飛び乗ってくるところから話が始まります。
それでは、Let’s dive into the story!
The Mysterious Traveler -あやしい旅行者 第1話-
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
前日の夜、私は車を送っていた、ルーアン市へ。私は列車でそこへ行き、近くに住む友人たちを訪ねるつもりだった。
パリで、私は列車の個室に入り、1人の女性と彼女の夫が話しているのを見つけた。彼は私を注意深く見た、それから妻に微笑んだ、彼女に示すために、私が信頼できる紳士であると。
そして彼は妻にキスをし、去った。
汽笛が鳴り、列車が動き始めた。
突然、1人の男が私たちの個室に飛び込んできた。女性は恐怖で叫んだ。
「きゃー!」
私は簡単には怖がらない、だが、ギリギリに到着する人たちはあやしい。
しかし、その旅行者はきちんとした身なりをして、理知的な顔だった。
私はあの顔を見たことがあるような、どこかで?
短い沈黙の後、女性は私に話しかけた、とても静かな声で。
「誰が私たちの列車に乗っているかご存じかしら?」
「どなたですか?」
「アルセーヌ・ルパンよ!」
「確かですか?裁判所が言っていました、彼は20年間刑務所に行くと。それに私は新聞で読みました、彼がトルコにいると。」
「私の夫は刑務所の所長で、夫が駅長から聞きましたの、警察がルパンを捜していると、まさに今。警察は彼を見たんです、待合室で。」
「警察は確信しているのですか?彼(ルパン)だと。」
「ええ、警察は彼を見たんです、ルーアン行きのチケットを買っているのを。ですけど彼は消えたんです。警察は考えています、彼が列車に乗ったと、私たちの列車の10分後に出発する(列車です)。」
「もし警察がそんなに知っているなら、彼らは彼を捕まえるでしょう、確実に。」
「でも、もしかしたら、彼は私たちの列車に飛び乗ったかもしれません。それは可能ですもの。」
「何でも可能です、でもルパンは十分に利口ですよ、現在の危険から逃れることに、新たな危険を作り出さずに。」
私は願った、私の言葉が女性を落ち着かせることを、だがそうならなかった。(直訳:私の言葉がしなかった)
女性は強く要求した、私に起きているようにと、だが私はとても疲れていてすぐに眠ってしまった。
私の夢の中で、アルセーヌ・ルパンは城から盗んだ、宝物でいっぱいの袋を背負って。そして彼は私の方に向かってきた。近づいて近づいて、私の胸に飛び乗った。私は痛みで目を覚ました。
「うわっ!」
あやしい旅行者の膝が私の胸の上にあり、彼は私の喉をきつくつかんだ。私は息ができなかった。個室にいた女性は、激しく震えていた、なぜなら彼女はとても怖がっていたから。それから彼女は意識を失った。
旅行者は私の手首を縛り、布を口にかぶせた。
彼はそれをとても巧みにこなしたので、私は彼がプロの泥棒だと分かった。
なんて滑稽な、私、アルセーヌ・ルパンが席に横たわっている、エジプトのミイラのように!
旅行者は私の財布と重要な書類を取り、それから女性の宝石と金も盗んだ。
なんという冒険だろうか!私は盗まれた!
旅行者は常に平静を保ち、煙草まで吸い始めた。
私の時刻表を見た後、彼は私のコートを取り、それを着て、列車のドアを開けた。
私たちは今、トンネルに入っていた。列車が突然速度を落としたとき、彼は列車から飛び降りて、暗闇へ消えた。
彼はいなくなった。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
前夜、私は車をルーアン市に送っていた。ルーアンへは列車で行き、近くに住む友人たちを訪ねる予定だった。
パリで、私は列車の個室に入った、すると1人の女性と彼女の夫が話していた。彼は私を注意深く見てから、私が信頼できる紳士であることを示すために妻へ微笑んだ。そして彼は妻にキスをして去っていった。
汽笛が鳴り、列車が動き始めた。
突然、1人の男が私たちの個室に飛び込んできた。女性は恐怖で叫んだ。
「きゃー!」
私は簡単には怖がらないが、ギリギリでやってくる人間は怪しい。しかし、その旅行者は身なりが良く、知的な顔をしていた。
私はどこかであの顔を見たことがあるような?
短い沈黙の後、女性は私にとても静かな声で話しかけた。
「この列車に誰が乗っているかご存じかしら?」
「どなたです?」
「アルセーヌ・ルパンよ!」
「本当ですか?裁判所は、彼が刑務所に20年入ると言っていましたよ。それに、彼はトルコにいると新聞で読みましたが。」
「私の夫は刑務所長で、警察がまさに今ルパンを探しているという話を、駅長から聞きましたの。警察は待合室で彼を見たんですって。」
「確かにルパンだったんですか?」
「ええ、警察は、ルパンがルーアン行きの切符を買っているのを見ました。でも彼は消えたんです。この列車の10分後に出発する列車にルパンが乗った、と警察は考えています。」
「そこまで知っているなら、彼らは確実にルパンを捕まえるでしょう。」
「でも、もしかしたらルパンは私たちの列車に飛び乗ったかもしれません。ありえますよね。」
「何でも可能ですが、ルパンは新しい危険は生み出さず、今の危険から逃れられるほど十分に利口ですよ。」
私の言葉が女性を落ち着かせてくれることを願ったが、叶わなかった。
女性は、私に起きているよう要求した、だが私はとても疲れていてすぐに眠ってしまった。
夢の中で、アルセーヌ・ルパンが宝石いっぱいの袋を背負って城から盗んでいた。そして彼は私の方に向かってきた。だんだん近づいてきて、ついに私の胸の上に飛び乗った。私は痛みで目が覚めた。
「うわっ!」
あやしい旅行者の膝が私の胸の上にあり、彼は私の喉をきつく締めた。息ができなかった。個室にいた女性は恐怖で激しく震えていた。そして彼女は意識を失った。
旅行者は私の手首を縛り、口に布をかぶせた。
彼はそれをとても巧みにこなしたため、私には彼がプロの泥棒だと分かった。
なんて滑稽な、私、アルセーヌ・ルパンがエジプトのミイラのように席に横たわっている!
旅行者は私の財布と重要な書類を取り、女性の宝石と金も盗んだ。
なんという冒険だろう!私は強盗にあったのだ!
旅行者は終始落ち着いていて、煙草まで吸い始めた。
私の時刻表を見た後、彼は私のコートを取り、それを着て、列車のドアを開けた。
私たちはちょうどトンネルに入っていた。列車が突然減速したとき、彼は列車から暗闇の中へと飛び降りた。
彼はいなくなった。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
なんてこったい!
泥棒にルパンが縛られた!?
Oh, how funny, I, Arsène Lupin was lying on the seat like an Egyptian mummy!
「なんて滑稽な、私ルパンがエジプトのミイラみたいに席に横たわってる」
っていう、もう、最高の表現ですね。
All right! Don’t forget to come back on Monday!