NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年5月29日(水)放送分
世界に誇るメイド・イン・ジャパン
「Low-Pain Needles -痛みの少ない注射針-」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳 - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週水曜日は「Japan’s Top Inventions」
今回の発明は「痛みの少ない注射針、Low-Pain Needles」
発明のきっかけは、”diabetes”。
糖尿病を患っている子供が、自分で自分の体に注射を打ち、痛そうにしていたのを見かけたことでした。
「痛くない針を開発できたら」開発者の思いはいかに。
Let’s listen!
【名詞】diabetes /daɪəbitiz/ 糖尿病
【名詞】insulin /ɪnsələn/ インスリン
「Low-Pain Needles -痛みの少ない注射針-」
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
病院で注射を受けるのは、不快かもしれません。でも、ご存知でしたか?あまり痛くない針があることを。
今日は、見ていきましょう、どのようにこの便利な道具が発明されたのか。
物語は2000年に始まります。
西川尚穂氏は新製品を開発していました、医療器具を製造する会社で。
ある日、西川氏が病院を訪れた時、彼はあることを見ました。ある少年が自分で注射をしていました。少年が針をお腹に押し込む時、彼が痛がっているように見えました。
その少年は糖尿病でした。彼は1日4回インスリン注射を打たなければなりませんでした、血糖値をコントロールするために。
西川氏は思いました。
「注射をより痛みの少ないものにしたい、糖尿病の子供たちのために。」
西川氏と彼のチームは、すぐに痛みの少ない針の開発を始めました。まず、彼らは考えました、非常に細い針を作ることを。
人の皮膚の何ヶ所かは痛みを感じますが、何ヶ所かは(痛みを)感じません。
もし針がとても細ければ、針が触れないかもしれません、痛みを感じる場所に。
しかし、問題がありました。
「細い針から液体を出すには、非常に強く押す必要があります。」
西川氏とチームは方法を見つけたいと考えました、もっと簡単にするための。
まもなくして、あるチームメンバーがアイデアを思いつきました。それは針を作ることでした、先端に向かってだんだん細くなる(針です)。
こうすれば、液体は押し出されます、より少ない力で。
西川氏の会社は経験がありませんでした、この形の針を作った(経験が)。
彼らは誰か見つける必要がありました、針を作れる誰かを。
チームは尋ねました、金属を扱う会社に、針を作れるかどうかを。でも、全ての会社ができないと言いました。
その後、西川氏は聞きました、東京の小さな金属加工会社について。その会社はたった6名の従業員しかいませんでした、しかし彼らの優れた技術は世界中に知られていました。
1人のチームメンバーが岡野雅行氏と面会しました。その会社の社長です。そして岡野氏に伝えました、糖尿病の子供たちを助けたいという希望を。
岡野氏は言いました、喜んで協力すると。
それは簡単ではありませんでしたが、1年以上経って、岡野氏は針を作ることができました、先端に向かってだんだん細くなる(針を)。
新しい細い針を受け取った後、西川氏のチームは、ナイフのような特別な先端を追加しました。
これが役立ちました、針が皮膚により簡単に入り、痛みを軽減することに。
いよいよ新しい針のテストをするときが来ました。メンバー達は日本中の病院へ行きました。彼らは医師たちに頼みました、患者たちに新しい針と通常の針の両方を使ってもらうように。
もし新しい針が痛みを軽減すれば、彼らは製品を販売できます。
2ヶ月後、医師たちはテストの結果を発表しました。
新しい針の方が人気でした!
西川氏は言いました。
「うれしかったです。また私をワクワクさせました、我々の針が患者さんたちの生活をより良くするかもしれないと考えることが。」
痛みの少ない注射針は2005年に発売され、今では世界中で使用されています。
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
病院での注射は不快なものですが、あまり痛くない針があることをご存知でしょうか?今日は、この便利な道具がどのようにして発明されたのかを見ていきましょう。
物語は2000年に始まります。西川尚穂さんは、医療用具を製造する会社で新製品を開発していました。ある日、彼が病院を訪れたとき、ある光景を目撃しました。ある少年が自分で注射をしていたのです。彼が針を自分のお腹に刺すとき、痛そうな顔をしていました。その少年は糖尿病で、血糖値をコントロールするために1日に4回もインスリン注射をしなければなりませんでした。
西川さんは「糖尿病の子供たちのために、注射の痛みを軽減したい」と思いました。
西川さんと彼のチームは、すぐに痛みの少ない針の開発に着手しました。まず、非常に細い針を作ることを考えました。人の皮膚の一部は痛みを感じますが、一部は感じません。もし針が非常に細ければ、痛みを感じる部分に触れないかもしれません。しかし、問題がありました。
「細い針から液体を出すには、非常に強く押す必要があります。」
西川さんと彼のチームは、それをもっと簡単にする方法を見つけたいと思っていました。まもなく、チームの1人がアイデアを思いつきました。それは、先端に向かってだんだん細くなる針を作ることでした。このようにすれば、液体を少ない力で押し出すことができます。西川さんの会社は、この形状の針を作った経験がありませんでした。彼らは、その針を作ることができる人を見つける必要がありました。
チームは金属を扱う会社に針を作れるか尋ねましたが、どこもダメでした。その後、西川さんは東京の小さな金属加工会社のことを耳にしました。従業員はわずか6名でしたが、その優れた技術は世界中に知られていました。
チームの1人が、その会社の社長である岡野雅行さんと面会し、糖尿病の子供たちを助けたいという想いを伝えました。岡野さんは喜んで協力すると言ってくれました。それは簡単なことではありませんでしたが、1年以上を経て、岡野さんは先端に向かってだんだん細くなる針を作ることができました。
新しい細い針を受け取った後、西川さんのチームは、ナイフのような特別な先端を追加しました。これにより、針が皮膚に入りやすくなり、痛みを軽減できます。
そしてようやく新しい針をテストする時が来ました。メンバーたちは日本全国の病院を回りました。彼らは、患者たちに新しい針と通常の針の両方を使ってもらうよう、医師たちに頼みました。新しい針が痛みを軽減できれば、彼らは製品を販売することができます。
2ヶ月後、医師たちはテストの結果を発表しました。新しい針の方が人気でした!
西川さんは「うれしかったです。それに、私たちの針が患者さんたちの生活をより良くするかもしれないと思うと、わくわくしました。」と語りました。
痛みの少ない注射針は2005年に発売され、現在では世界中で使用されています。
参考資料
ストーリーの元となったNHK WORLD JAPANの番組動画です。
(動画の17分頃) 1型糖尿病は子供に多い病気。1日4回以上のインスリン注射が必要で、1年だと1,000回以上も子供たちは注射の痛みに耐えなければならなかった。しかし、この注射針の開発のおかげで痛みが減り、子供たちの生活の質の向上につながっている。
和訳にあたり、政府広報オンラインのHPを参考にしました。
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
僕は注射きらいです。
針が刺さる瞬間の痛みを和らげるために、注射針が先にいくほど細くなるようなデザインにし、注射針の先端をですね、ナイフのような形状にしたという開発ですね。
これは素晴らしい開発ですよ。
それでは、See you tomorrow.