NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年6月12日(木)放送分
哲学者からの答え
『I Can’t Get Along with My Boss』
上司とうまくいかない
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日にお届けするのは「哲学者からの答え」
今日のお悩みは「上司とうまくいかない」
つまり、そりが合わない、というものです。
オランダの哲学者スピノザが、驚きの答えを教えてくれますよ~。
“get along with” は「うまくやっていく」
“point of view” 「視点、見方」という意味です。
では早速、聞いてみましょう。
Let’s 哲学!
I Can’t Get Along with My Boss – 上司とうまくいかない
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
Tom: ようこそ / 「哲学者からの答え」へ!
私はトムです / この番組の司会、そして / 私はいます / 私の友人 / 昌平と一緒に、(昌平は)哲学が大好きです。
私たちはここにいます / 手助けをするために / あなたが答えを見つける / あなたのお悩みへの。
Shohei: 今日は、私たちはメッセージがあります / ノリコから / 苦労している / 職場で。
Noriko: こんにちは / トム、昌平。
私は本当に好きではありません / 私の新しい上司が / 職場の。
彼は怒っているように見えます / 常に。
また、私がすると / 何か正しいことを、彼はみんなに言います / それは彼(上司)のアイデアだったと。
でも / 彼(上司)が間違えると、彼(上司)は言います / それは私(ノリコ)のアイデアだったと。
私は好きです / 仕事が、ですが / 私は好きではありません / 彼(上司)が。
何を私はすべきでしょうか?
Tom: ああ、私は働きました / そういう人と一緒に / かつて。
本当にストレスが多かったです / 働くことは / そのような人と一緒に。
さて、昌平、あなたはどう思いますか?
Shohei: 私に始めさせてください / 答えから / 最初に。
ノリコ、彼(上司)は変わりません、だから / あなたは受け入れなければなりません / 彼(上司)を。
Tom: 本当ですか?
誰が言ってますか / それを?
ノリコは求めています / 私たちの助けを / なぜなら / 彼女は受け入れられないからです / 彼(上司)の行動を。
Shohei: それ(答え)は由来しています / 17世紀のオランダの哲学者、バルーフ・スピノザに。
Tom: 私に教えてください / さらに。
Shohei: スピノザは信じました / すべての事が起きている / 今日 / 物事が理由で / 過去に起こった(物事)。
Tom: なるほど、ですが / どのようにそれが助けるのですか / ノリコを?
Shohei: スピノザによると、人々がすることは / すでに決められています。
家族、教育、環境、職務経験のようなことが / 彼ら(人々)が持った(ここまでが主語) / 人を作ります / 彼ら(人々)が誰であるか。
これらのことが理由で / 過去の、人々は本当にできません / 変えること / または / コントロールすることを / 彼らの行動を / 今日の。
Tom: ということは / 彼女の上司は変わらないんですか?
ノリコはできないんですか / 何も?
Shohei: ひとつあります / 彼女にできることが。
彼女は理解しようと努力することができます / なぜ彼女の上司がそんな風なのかを。
もしかすると / 彼女の上司は大きな間違いをしたかもしれません / 以前に / 彼のキャリアの / そして / 今 / 彼は恐れているかもしれません。
彼女は考えようと努めるべきです / 彼(上司)のように / あるいは / 物事を見ようと努めるべきです / 彼の視点から。
Tom: どうして彼女はするべきなのですか / それを?
Shohei: 無駄です / 彼女の時間とエネルギーの / 彼女の上司に怒るための。
彼は変わりません。
Tom: でも / 難しいですよね / 誰かのように考えるのは / あなたが好きではない(誰か)?
Shohei: はい、おそらく難しいです。
しかし / それは大切です。
Tom: なぜですか?
Shohei: スピノザは言います / あなたが理解したとき / 人々は変えられることができないと、あなたは諦めるでしょう / 彼らを変えようと努力することを。
そうすれば / あなたは平和になるでしょう。
Tom: なるほど。
ノリコさん、私たちは見つけました / あなたの答えを!
人々は変えることはできません / 自分自身を / そして / 人は変えられることもできません / 他人によって。
だから / 彼らを理解してください / そして / 彼らを受け入れてください / 彼らであることを(彼らのありのままを)!
Shohei: はい!
覚えてください / これらの言葉を / スピノザの。
「笑わない / 人の行動を、嘆かない / それら(人の行動)について、そして / 憎まない / (人の行動)を。
ただ理解しようとする。」
そうすれば / あなたは持つでしょう / より少ないストレスを。
Both: ありがとうございました / 聞いてくださって!
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
Tom: 「哲学者からの答え」へようこそ!
私はこの番組の司会トムです。哲学が大好きな私の友人、昌平さんと一緒にお届けします。
私たちは、皆さんのお悩みに対する答えを見つけるお手伝いをするため、ここにいます。
Shohei: 今日は、職場で大変な思いをしているノリコさんからのメッセージです。
Noriko: トムさん昌平さん、こんにちは。
私は、職場の新しい上司が心底嫌いです。
上司は常に怒っているように見えます。それに、私が何か正しいことをすると、みんなに自分のアイデアだと言うんです。でも、上司が間違うと、それは私のアイデアだったと言うんです。
仕事は好きなのですが、上司は嫌いです。
どうすればいいでしょうか?
Tom: ああ、私も以前、そういう人と一緒に働きました。そういう人と仕事をするのは、本当にストレスが多かったです。
さて、昌平さん、どう思いますか?
Shohei: まず答えから始めますね。
ノリコさん、彼は変わりません、ですから、あなたは彼を受け入れなければなりません。
Tom: 本当ですか?
誰がそんなことを言っているんですか?
ノリコさんは助けを求めているんですよ、上司の行動を受け入れられないから。
Shohei: 17世紀のオランダの哲学者、バルーフ・スピノザの言葉です。
Tom: もっと詳しく教えてください。
Shohei: スピノザは信じていました、過去に起きた物事によって、今日のすべての事が起きると。
Tom: なるほど、でも、それがどのようにノリコさんの助けになるんでしょうか?
Shohei: スピノザによると、人の行動はすでに決まっています。これまでの家族、教育、環境、職務経験といったことが、その人が誰であるかを作ります。過去のこれらが理由で、人は本当にできないのです、今日の行動を変えたり、コントロールすることは。
Tom: では、ノリコさんの上司は変わらないんですか?彼女は何もできないんですか?
Shohei: 彼女にできることがひとつあります。
なぜ上司がそうなのかを理解しようと努めることはできます。
もしかすると、ノリコさんの上司はキャリアの早い時期に大きなミスをして、今はそれを恐れているのかもしれません。ノリコさんは彼のように考えたり、彼の視点から物事を見ようと努めるべきです。
Tom: どうしてノリコさんが、そんなことをするべきなのでしょうか?
Shohei: 上司に怒っている時間とエネルギーが無駄だからです。彼は変わりません。
Tom: でも、嫌いな誰かのようになってみて考えるのは難しいですよね?
Shohei: はい、おそらく難しいでしょう。でもそれは大切なことです。
Tom: なぜですか?
Shohei: スピノザは言っています、人を変えることができないと理解したとき、人を変えようとするのを諦める。そうすれば、あなたは安らかになるでしょう。
Tom: なるほど。
ノリコさん、あなたの答えが見つかりましたよ!
人は自分自身を変えることはできません、それに、他人が人を変えることもできません。ですから、人を理解し、ありのままを受け入れましょう!
Shohei: そうです!
スピノザのこの言葉を覚えておいてください。
「人の行いを嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する。」
そうすれば、あなたのストレスは減るでしょう。
Both: お聞きいただきありがとうございました!
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
人は変われない。
だって、その人の行動ってのは、今までの積み重ねの結果だから。
と、スピノザさんは言いますね~。
だから、受け入れることが大事かもしれませんね。
哲学は楽しい!
See you tomorrow!
参考図書
2025年度前期(4月~9月)木曜日のテーマ「哲学者からの答え」は、下記の本を参考に英文が執筆されています。
著者:小林昌平さん (哲学者)
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』