NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2025年6月26日(木)放送分
哲学者からの答え
『I Want to Quit My Job』仕事を辞めたい
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳
テキスト巻末のWord Listの訳を使用しています - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日にお届けするのは「哲学者からの答え」
今回取り上げるのは「仕事を辞めたい」という悩みです。
フランスの哲学者ドゥルーズの「逃走線」”lines of escape” という考え方が、紹介されますよ。
ストーリーの中の、
“currently” は「現在」
“possibility” は「可能性」
“solve” は「解決する」という意味です。
では、早速聞いてみましょう。
Let’s 哲学!
I Want to Quit My Job – 仕事を辞めたい
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
- 放送を聞きながら英語の語順で意味を取りたい場合
→ スラッシュリーディング訳をご覧ください - 物語の全体的内容を理解したい場合
→ 自然な日本語訳バージョンをご覧ください
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
Tom: こんにちは!
あなたは聞いています / 「哲学者からの答え」を / お送りしている / 昌平とトムが。
私はトム、司会です。
Shohei: そして / 私は昌平、あなたの哲学案内人です。
Tom: 私たちは受け取りました / メッセージを / カオルから / 今日。
Kaoru: こんにちは。
助けてください!
3年目です / 働いて / 会社で / スマートフォンアプリを作る。
私がこの仕事に就いた時、私は思いました / それ(仕事)が違うだろうと。
私は思いました / 私の仕事はもっとクリエイティブだろうと。
でも / 私はまだできません / どんな決定も / 私の仕事について。
彼ら(会社)は言います / 私に / 何をすべきか / そして / 私はしなければなりません / それ(指示されたこと)を。
私は感じます / ロボットのように。
私は辞めたいです / 私の仕事を。
私は思います / もしかしたら / 私は始めるべきだと / 何か完全に新しいことを!
どう思いますか?
Tom: それは難しい問題のようですね / 解決することが。
尋ねてみましょう / 昌平先生に。
Shohei: えー、私はお話ししたいです / カオルに / ジル・ドゥルーズについて。
彼は有名なフランスの哲学者です / 20世紀の。
ドゥルーズは言いました、
「動かずにして動く」
Tom: どのようにあなたはできますか / それを?
Shohei: ドゥルーズは言いました / 見つけるようにと / 方法を / 逃げるための / 心の中で。
同じ場所に留まり、しかし / 見つける / 「逃走線」を。
Tom: 線?
Shohei: はい、それら(逃走線)はつながりのようなものです / 世界への / あなたの状況の外の。
Tom: それで / どのようにカオルは作ることができますか / これらのつながりを?
Shohei: 見つけるために / 「逃走線」を、彼女は留まるべきです / 彼女の仕事に / 今のところは。
それから / 仕事の外で、彼女はできるでしょう / 多くの他のことを。
彼女は会うことができるでしょう / 古い友人たちと。
彼女はまた会うこともできるでしょう / 新しい友人たちと。
話す時 / これらの様々な人々と、彼女は聞くことができます / 新しいことについて。
彼女は使うべきです / これらの新しいアイデアを / 作るために / つながりを / または / 「逃走線」を。
それらは役立つかもしれません / どこかで / 彼女の将来に。
Tom: 例を挙げていただけますか?
Shohei: 分かりました。
想像してください / カオルがコーヒーを飲んでいます / 友達と / 大学からの。
彼女(カオル)は話します / アプリについて / 子供向けの / 彼女が現在取り組んでいる / 彼女の仕事で。
その友達は言います / そのアプリは良いかもしれないと / 彼女(友達)の祖母に。
カオルはアイデアを得ます / そして / 伝えます / 誰かに / マーケティング部門の / それ(アイデア)について。
彼女は作りました / そのつながりを / 新しいアプリを売るための / 高齢者へ / 子供たちだけでなく。
Tom: それはワクワクしそうです!
Shohei: 会社は気に入ります / 彼女のアイデアを / そして / 売り始めます / 新しいアプリを。
それ(新アプリ)がよく売れると、会社は尊重し始めます / 彼女の意見を。
彼女はまだ持っています / 同じ仕事を / しかし / 彼女は気分が良くなります / 自分自身について。
Tom: つまり、彼女はしている / 何かクリエイティブなことを / 彼女の会社の中で。
Shohei: その通りです!
それが方法です / 動くための / 実際には動かずに!
Tom: カオルさん、私たちは見つけました / あなたの答えを!
逃走してください / あなたが好きではないものから / 見つけることで / 「逃走線」を!
Shohei: 時間をかけてください / 考えることに / 他の可能性についても / 同様に。
あなたは去る必要はありません / 見つけるために / 幸せを。
Both: また来週お会いしましょう!
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
Tom: こんにちは!
「哲学者からの答え」です。昌平さんとトムがお送りしています。
私は司会のトムです。
Shohei: そして、私は哲学案内人の昌平です。
Tom: 今日はカオルさんからのメッセージです。
Kaoru: こんにちは。助けてください!
私はスマートフォンアプリを作る会社で働き、3年目です。
この仕事に就いた時は、もっと違う仕事だと思っていました。私の仕事はもっとクリエイティブだと思っていたんです。ですが、私はまだ、自分の仕事について何も決めることができません。会社は私に何をすべきか指示し、私はそれをしなければなりません。ロボットになったような気持ちです。
仕事を辞めたいです。
何か全く新しいことを始めた方がいいのかもしれません!
どう思いますか?
Tom: それは解決するのが難しそうな問題ですね。
昌平先生に聞いてみましょう。
Shohei: えー、カオルさんに、ジル・ドゥルーズについてお話ししたいと思います。
彼は20世紀の有名なフランスの哲学者です。
ドゥルーズは「動かずにして動く」と言いました。
Tom: どうすればそれができるんですか?
Shohei: ドゥルーズは言いました、心の中で逃げる方法を見つけるようにと。同じ場所に留まるけれども、「逃走線」を見つけるのです。
Tom: 線ですか?
Shohei: はい、逃走線は、あなたの状況の外の世界へのつながりのようなものです。
Tom: それで、どのようにしてカオルさんは、これらのつながりを作ることができるんでしょうか?
Shohei: 「逃走線」を見つけるために、今のところ、カオルさんは会社にいるべきです。そして仕事以外で、他に多くのことができます。昔の友人と会えますし、新しい友達にも会えるでしょう。こうした様々な人々と話すと、新しいことについて聞けます。彼女はこれらの新しいアイデアを使うことができます、つながりや「逃走線」を作るために。
それらが、将来どこかで役立つかもしれません。
Tom: 例を挙げていただけますか?
Shohei: 分かりました。
想像してください、カオルさんが大学からの友達とお茶してるとしましょう。
カオルさんは、現在仕事で取り組んでいる子供向けのアプリについて話します。その友達は、そのアプリが自分の祖母にもいいかもしれないと言います。
カオルさんはアイデアを得て、それをマーケティング部門の誰かに伝えます。
カオルさんは、高齢者にも新しいアプリを販売するためのつながりを作ったのです、子供だけでなく。
Tom: それはワクワクしそうですね!
Shohei: 会社はカオルさんのアイデアを気に入り、新しいアプリを売り始めます。新アプリがよく売れると、会社はカオルさんの意見を尊重し始めます。彼女はまだ同じ仕事ですが、自身について気分が良くなります。
Tom: つまり、彼女は、会社の中で何かクリエイティブなことをしているんですね。
Shohei: その通りです!
それが、実際には動かずに動く方法です!
Tom: カオルさん、答えが見つかりましたよ!
「逃走線」を見つけることで、好きではないものから逃走してください!
Shohei: 他の可能性についても同様に、考える時間を取ってください。幸せを見つけるために去る必要はありませんよ。
Both: また来週お会いしましょう!
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
むずかしいな~。
ちょっとみなさん、僕と一緒に振り返ってみましょう。
“Move without moving.”
動かずにして動く。
会社が嫌だからといって、辞めなくても、会社にいながら、外の人と会ったり、情報を集めたり、逃げ道を探ることはできる。
この「逃げる」ということを、新たな可能性を探る、創造的な行為だと捉えた。
ということなんですねぇ。
なるほど。
See you tomorrow.
参考図書
2025年度前期(4月~9月)木曜日のテーマ「哲学者からの答え」は、下記の本を参考に英文が執筆されています。
著者:小林昌平さん (哲学者)
『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』