NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年5月9日(木)放送分
2024年11月7日(木)再放送
古典が語る西洋の知恵
「Belling the Cat -猫に鈴をつける-」
全文和訳してみました。
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、直訳寄りにしております。
- 直訳8割、意訳2割を意識しています
- 巻末のword listの訳をできるだけ使用しています
- 英語の語順になるべく沿わせています
- 意訳は私なりの解釈です
- 極端に意訳した部分は直訳文も記載しました
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
毎週木曜日は、2019年度に放送した「Wisdom from the West」をお送りします。
人生の知恵や教訓をさりげなく教えてくれるイソップ寓話を集めました。
今回は「Belling the Cat、猫に鈴をつける」です。
では、早速聞いてみましょう!
Belling the Cat -猫に鈴をつける-
昔、ネズミたちが集まって会議を開きました。
リーダーは言いました。
「私たちが今日ここに来たのは、私たちの敵である猫について話すためです。私たちは猫に対して何かしなければなりません。」
1匹のネズミが意見を言いました。
「そうです、私たちは日夜びくびくして生活しています!私たちにできる何かがあるはずです。」
小さなネズミが言いました。
「でも、何が私たちにできるでしょう?
私たちは猫を止められません。
猫は大きすぎて、強すぎます。」
多くのネズミたちがこれに賛成しました。
ネズミたちは、猫に比べてとても小さく弱かったのです。
猫のように大きなかぎ爪や歯のような武器を、ネズミたちは何も持っていませんでした。
別のネズミが言いました。
「私たちは猫と戦うことはできません。
私たちは負けることを知っています。
だから、私たちは静かに生き続けるべきなのかもしれません。」
リーダーが答えました。
「その通りです(直訳:あなたが正しい)。
もし私たちが猫と戦えば、私たちは負けます。
でも、私はずっと怯えていたくないんです。
問題は、猫が近くにいるかどうかわからないことです…」
それから、リーダーは1つのアイデアを思いつきました。
「皆さん、私には計画があります。
ですが、説明する前に、みなさんに1つ質問をしたいと思います。
なぜ私たちはいつも恐れているのでしょうか?」
ネズミたちはみんなしばらく考えました。すると、小さなネズミはこう答えました。
「それは、私たちには分からないからです、猫が来て私たちを襲うのかどうか。
猫はとても素早くて静かに動きます。」
「そうです、その通りです。
猫がどこにいるのか?私たちはいつもそれが知りたいのです。」
リーダーは興奮して話し続けました。
「もし、猫が近くにいないことを、私たちが分かれば、いつもそんなに静かにしておくことも、ずっと家の中にいる必要もありません。そうすれば、私たちは恐怖から解放され生きていけます。」
ネズミたちはみんな賛成し、小さな頭で何度もうなずきました。
(直訳:小さな頭を上下に動かしました)
1匹のネズミが尋ねました。
「それは素晴らしいと思います。
けどどうやってそれを知ることができるんですか?
猫は動くときに音を立てませんよ。」
リーダーは力強い声で答えました。
「それはとても簡単です。
私たちが猫の首に鈴をつけるんです。
そうすれば、猫が動くと鈴が鳴ります。
それで、猫が近づいているのを私たちは知ることができます!」
ネズミたちは手を叩き、リーダーに喝采を送りました。
小さなネズミが言いました。
「とても簡単ですね。
なぜ以前に私たちはそれを考えつかなかったのでしょう?」
すると、老ネズミが立ち上がり、静かに話しました。
「リーダーの計画はとても良いものだと、私は思います。
だが、私も1つ質問があります。
誰が猫に鈴をつけるのですか?」
ネズミたちは皆、突然静かになりました。アイデアは素晴らしかったのです、しかし、猫に鈴をつけたいネズミは1匹もいませんでした。
こうすべきだと言うことと、実際にやることはまったく別物である。
ことわざでは「言うは易く行うは難し」
[意味]口で言うのは簡単でも、実行するのは難しい
[補足]日本では、口だけで行動が伴わない人をたしなめる場合にも使われる
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
今日も素敵な教訓いただきましたねー。
It is one thing to say that something should be done, but quite a different matter to do it.
「こうすべきだと言うことと、実際にやることはまったく別」という意味でございます。
僕の個人的な受け取り方なんですけれども、
これはまあ、いいアイデアが出たとしても、それが実際行動に移せるものでなかったら、それは本当にいいアイデアといえるのか?とか。
なんかそういうことを、こうちょっと考えさせられるような内容だなと思って、すごくためになりました。はい。
それでは、また明日!
See you tomorrow!