NHKラジオ英語番組『エンジョイ・シンプル・イングリッシュ』
2024年5月31日(金)放送分
ルパン ～怪盗紳士～
「ルパンの脱獄 最終話」
全文和訳してみました。
英語学習の参考にしてくださっている方もおられますので、訳し方が異なる2パターンで日本語訳をしました。
- スラッシュリーディング訳
英文を前から訳す
意味はほぼ直訳 - 自然な日本語訳
英文を後ろから訳す(返り読み)
意訳を含み日本語らしい文章
森崎ウィンさんのオープニングとエンディングトークも、書き起こししています。
お役に立てれば幸いです。
テキストには英文スクリプトのみ掲載されています。
オープニング 森崎ウィンさんのトーク
How’s your day going?
Enjoy Simple English.
森崎ウィンです。
It’s Friday!
毎週金曜日は「Lupin, The Gentleman Thief、怪盗紳士ルパン」
今日は「ルパンの脱獄」の最終話です。
前回はルパンの代わりにボードリュと名乗る男が裁判に現れ、そのあと釈放されましたね。
怪しむガニマ―ル刑事は、彼の後をついていきますが、忽然と姿が消えてしまいました。
事件の結末はどうなるのでしょうか。
Let’s dive into the story!
前回までの『The Escape of Arsène Lupin』
ここまでの過去3話です。
The Escape of Arsène Lupin -ルパンの脱獄 最終話-
訳し方が異なる2パターンの和訳をしています。
スラッシュリーディング訳バージョン
英文を前から訳し、意味はほぼ直訳です。
放送を聞きながらや、テキストの英文を読みながら意味が取れるようになっています。
和訳だけを読むと不自然に感じられる部分がありますこと、ご了承くださいませ。
ガニマール刑事が、待合室を走り抜け、別のドアから出ると、デジレ・ボードリュが見えた、バスに座っているところを。
ガニマール刑事は走って同じバスに乗った。
ガニマール刑事は非常に怒っていて、ボードリュの首をつかもうとした、だが、彼は座席で寝ていた、口が半分開いた状態で。
警部は思った。
「彼はただの愚か者だ。私をだませたはずがない。」
ボードリュは目を覚ますと、バスを降り、ゆっくりと大きな公園に歩いていった。
ガニマール刑事は彼の後をつけた、1時間近く。
そしてついにボードリュがベンチに座った。
ガニマール刑事はこれ以上待ちきれず、近づいて彼の横に座った。
タバコに火をつけて言った。
「今日はあまり暑くありませんな。」
男は何も答えなかった。しかし、突然、彼は大笑いし始めた。
ガニマール刑事はショックを受けた！それは笑い声だった、彼がよく知っている。
ガニマール刑事はすばやく男の襟をつかみ、非常に注意して彼の顔を見た。
「お前だな、アルセーヌ・ルパン！」
戦いは短時間で、やがてガニマール刑事の腕は横にだらりと垂れ下がった。
「これは日本の柔術です。もう少しであなたの腕を折るところでしたよ、ガニマール刑事」
「それで、君だったのか、裁判にいたのは？他の誰もいなかったか？」
「その通りです。私です、いつも私です、私だけです。」
「どうやってやったんだね、君の顔と目は？」
「覚えていますか？私が病院で18ヶ月働いたことを。
私はたくさんの方法を学びました、人の顔や体を変えるための。
少しの化学薬品で変えることができるんですよ、顔の色や形を。
ある植物の汁で顔にシミや吹き出物を作ることもできます。
特別な目薬さえあれば、目を、疲れて荒々しく見せることもできます。
私にとっては簡単なことですよ。私はアルセーヌ・ルパンですから。」
「しかし、デジレ・ボードリュについてはどうなんだ？」
「彼は本物です。私は昨年、貧しい男を見つけました。彼は私に少し似ていました、そこで彼の世話をしました。いつか役に立つだろうと思いましてね。
私の友人たちは、必ず彼が逮捕されるようにしました、彼が記録に残るように。
そうしたら警察が信じたんです、我々が入れ替わったと。」
「その通りだ。」
「私にはもうひとつ大きな助けがありました。人々です。彼らは私が脱獄すると信じていました。だから皆さんは間違えたのです。
警部が言った時『この男はルパンではない 』、皆がそれを信じました。」
「それで葉巻のメモは……」
「私が書きました。それに私がナイフも改造しました。」
「これから何をするつもりなんだね？」
「休むつもりです。自分の外見や人格を変えた後は、時間が必要なんです、もう一度自分を見つけて自分に戻るために。」
日が暮れ始めた、ルパンが話している間に。
「お別れの時間です、ガニマール刑事。私は夕食をとるので、着替える時間が必要なんです。」
「休むのかと思っていたが。」
「やらなければならないことがあるんです。私の休息は明日から始まります。」
自然な日本語訳バージョン
英文を後ろから訳し(返り読み)、意訳も含み日本語らしい文章にしています。
ガニマール刑事は待合室を駆け抜け、反対側の扉から出ると、バスに腰掛けるデシレ・ボードリュを見つけた。
ガニマ―ル刑事は走って同じバスに乗り込んだ。
警部は怒り心頭で、ボードリュの首を掴もうとしたが、ボードリュは半開きの口で眠っていた。
警部は思った「彼はただの愚か者だ。私を騙せたはずがない。」
ボードリュは目覚めると、バスを降り、大きな公園へゆっくりと向かった。
ガニマール刑事は1時間近くボードリュを尾行した。ようやくボードリュがベンチに腰を下ろした。
ガニマ―ル刑事はそれ以上待ちきれず、ボードリュの隣に座った。
タバコに火をつけ、声をかけた。「今日はあまり暑くありませんな。」
男は返答しなかった。しかし突然、男は大笑いし始めた。ガニマ―ル刑事は驚いた！それはガニマール刑事がよく知っている笑い声だった。
ガニマ―ル刑事は反射的に男の襟を掴み、顔を覗き込んだ。「お前だな。アルセーヌ・ルパン！」
一瞬の攻防の後、ガニマール刑事の腕はだらりと垂れ下がった。
「日本の柔術です。もう少しであなたの腕を折るところでしたよ、ガニマール刑事。」
「それで、裁判にいたのは君だったのか？他の誰でもなく？」
「そうです、私です。いつも私です。私しかいません。」
「顔と目はどうやったんだ？」
「私が病院で18ヶ月間働いていたことをお忘れですか？
人の顔や体を変える方法を数多く学びましたよ。化学薬品を少し使えば、顔の色や輪郭を変えることができます。植物の汁で顔にシミを作ることもできます。特別な目薬があれば、疲れた狂暴な目に見せることもできますよ。
そんなことは簡単です。私はアルセーヌ・ルパンですから。」
「だが、デジレ・ボードリュはどうした？」
「彼は本物です。去年見つけた貧しい男で、私と少し似ていました。いつか役に立つだろうと思って面倒を見ていました。
私の仲間が、ボードリュが逮捕されるように仕向けたんです、記録を残すためにね。
そして、警察は我々が入れ替わったと信じた。」
「確かに。」
「もう1つ、大きな助けがありました。大衆です。彼らは私が脱獄すると信じていました。だから全員が間違えた。警部が『この男はルパンではない』と言った時、皆がそれを信じました。」
「あの葉巻のメモは…」
「私が書きました。そしてナイフに細工したのも私です。」
「これからどうするつもりなんだね？」
「休みますよ。外見や人格を変えた後は、また自分自身を取り戻す時間が必要なんでね。」
ルパンが話している間に、日が暮れ始めた。
「お別れの時間です、ガニマール刑事。夕食を取るために着替えないといけませんので。」
「休むんじゃなかったのか？」
「やらなければならないことがあるんです。休息は明日からです。」
エンディング 森崎ウィンさんのトーク
やっぱりそうかー、ボードリュか、ルパンだったかー。
Unbelievable!
もー信じられない！
もう、葉巻やナイフに隠した手紙も全てルパンのトリックだったってことですよ。
Oh! God!
さすがルパンです。
それでは、Don’t forget to come back on Monday!
